八王子:手打そば 車家

蕎麦屋に幼児(ガキ)は似合わない。
ピーピー騒いだり、せっかくの蕎麦をぶつ切りにして蕎麦猪口の中でグチャグチャにして食べたり、「すみません、冷まして食べるためのお椀ください!」と注文したり…。そういうのはファミレスでやって欲しい。


子供に罪は無いのだが、こうした理由によって、「お子様お断り」という蕎麦屋は案外多い。
まもなく愛息との同居がはじまるにあたり、車家さんにも当分来られなくなるかな…と嘆息しつつ、食いおさめのつもりで行ってきた。
するとどうだろう、店内にベビーカーに乗った幼児が居るではないか!
お店の方に聞いてみると、「うちはお子さんも全然OKですよ」との回答。「小さなお子さんで、うちのだしまき玉子が大好きで、家で作っても食べないのにここに来ると喜んで食べる…という方もいますね。小さいうちに好きになっていただければ、長いお得意さんになってもらえますから…(笑)」とも。


ホッと一安心。
「そばがきの春野菜あんかけ」を食べて帰る。

「SPIRIT」

ジェット・リーことリー・リンチェイが、「自分の俳優人生で最後のアクション映画」と言い切っているというこの映画。見ないわけにはいかないでしょう、ということで見てきた。


清朝末期の実在の人物、霍元甲(フォ・ユァンジャ)が主人公。伝記に尾ひれが付いて、さまざまな伝説が後世に作られている、中国大衆に大人気の人物。
同様に実在ながらも伝説的存在の黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)*1と並んで、さまざまな小説や映画の主人公となっているそうです。日本で言うなら、たとえば石川五右衛門とかそんな感じ?


西洋列強が中国人のプライドを潰すために、各国から武術家を呼んで中国武術の大家である霍さんと4対1の異種格闘技戦を開く…というムチャクチャな設定のお話なのですが、しかしこの設定は、霍さんが実際に1909年*2に天下無双を名乗る西洋人の挑戦を受け、上海の大衆の前で戦うことになった…という実話が下敷きになっています*3。さらに日本人武術家との他流試合の数日後に急死したことから、「霍元甲一派を快く思わない列強に毒殺された」とまことしやかに噂された、というのも実話だとか。


そうした史実はともあれ、この映画はそれらをベースにしたフィクションであって、それでもってリー・リンチェイが何を伝えたかったかというと、つまりは現在の急速に発展を遂げている中国への、一種の警鐘だったのでしょう。
作中繰り返される、こんな教訓めいたセリフたち。

「強いだけでは怖がられるだけ。尊敬されるのが大事」
「身をきれいにしておけば、清く生きられる」
「列強に東洋の病人と呼ばれるのは怖くない。本当に怖いのは、病に犯されているのに気付かないこと」
「茶それ自体に違いは無い。あるのは人の好み」
「中国人は殺し合い好きの武術家ばかりではない。武術をもって友となる伝統もある」
「憎しみはさらなる憎しみを生むだけ。それよりも自分を磨くべき」
   …などなど


ちなみに霍元甲が最後に戦う日本人武術家役で、中村獅童さんが出演されてました。さすがに精神論を戦わせる場面の中国語のセリフは吹き替えでしたが、一部肉声で頑張っていたみたい。アクションはまあ、大半が吹き替えでしたけど、これは仕方ないでしょう。

*1:ちなみにリー・リンチェイ黄飛鴻の役も「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズで演じていますね

*2:ゲッ! はてなキーワード「1909年」で知ったけど、小森のおばちゃまはこの年に生まれたのか!

*3:ただしこの西洋人との試合は結局実現せず、普通に挑戦者を募って数日間にわたり試合を行い、ことごとく勝利したのだそうな