津堅信之のアニメーション研究資料図書室 このページをアンテナに追加

2016-08-18

広島国際アニメーションフェスティバル開幕

| 14:39 | 広島国際アニメーションフェスティバル開幕を含むブックマーク

 きょうから5日間、広島市で恒例の広島国際アニメーションフェスティバルが開催されている。

 

 http://hiroanim.org/

 

 2年に一度、主にいわゆるアート系の短編アニメーションが集められ、新作を審査しグランプリを競うコンペティションがメインプログラムとなる。

 前回、2014年大会では、日本人作家の新作が1本もコンペに入らず、物議をかもしたのだが、今回は無事(?)7本が入った。今夜から、4日間かけてコンペが行われる。

 私も5日間、全日程参加し、取材する予定だが、コンペ以外のプログラムでは、日本のアニメーションの大規模な特集が組まれていることに注目だ。やはり主に短編アニメーションが集められているのだが、この種のフェスティバルで、過去から現在に至る日本の作品が230本以上、一挙に上映されるというのは空前のことで、また古い作品の中には、めったに見られない作品も混じっている。

 コンペティション部門のグランプリを含む受賞作は、最終日の22日夜に発表される予定。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/tsugata/20160818

2016-08-13

デラシネ −わたくしの昭和史−

| 13:14 | デラシネ −わたくしの昭和史−を含むブックマーク

●「デラシネ −わたくしの昭和史−」

 著 者:栗山 富郎

 出版社:ボイジャー

 刊行年:2009年

 定 価:1,620円

 

 https://www.amazon.co.jp/dp/4862390528/

 

 先に紹介した拙著「ディズニーを目指した男 大川博」を執筆中に参照した文献の中で、感銘を受けたもののひとつ。

 著者の栗山富郎は、1951年に東映入社後、主にプロデュースの道を歩み、後に独立プロを立ち上げ、多くの作品と人物に関わる。その関わった人物として登場するのが、寺山修司大島渚内田吐夢安部公房三島由紀夫など。

 主に東映動画でのアニメ関連のエピソードもいくつか語られており、アニメーター大塚康生が入社を希望する東映動画(正確には東映動画改組前の日動映画)を訪問しようとする際に紹介状を書いたのが、この栗山である。

 文字通り、昭和の映画・アニメなどに絡む裏面史が豊富に盛り込まれた貴重な内容。書式は自由なため、内容を引用する際には裏づけが必要となることもあろうが、証言集として捉えるだけでも、その価値は減じない。

 2009年出版だが、著者の栗山は翌2010年5月10日に他界する。よく書き残してくれたと思う。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/tsugata/20160813

2016-08-10

ディズニーを目指した男 大川博

| 23:54 | ディズニーを目指した男 大川博を含むブックマーク

●「ディズニーを目指した男 大川博 忘れられた創業者」

 著 者:津堅 信之

 出版社:日本評論社

 刊行年:2016年

 定 価:2,376円

 

 https://www.amazon.co.jp/dp/4535586950/

 

 自著の紹介になるが、私の最新刊は、東映動画設立者・大川博の評伝。

 しかし、大川博は倒産寸前の東映の初代社長として経営を立て直した日本映画界の功労者であり、映画界に入る前には鉄道省、そして東急電鉄の役員として鉄道業界を渡り歩き、東映社長就任後は、NET(日本教育テレビ、現・テレビ朝日)を創業・初代会長であり、東映が親会社のプロ野球球団・東映フライヤーズ(現・北海道日本ハムファイターズ)の初代オーナーという多彩な経歴の持ち主である。本書ではそのすべてに触れ、大川博の評伝としてまとめた。

 アニメ分野では、東映動画設立に大川博がどう関わったのか、そして日本初のフルカラー長編アニメ白蛇伝』成立の道筋に絞って執筆した。

 したがって、東映動画というスタジオ史としては物足りない内容と読めるかもしれないが、アニメーターとか監督とか、どうしても実制作者によって語られることが多い東映動画史の空白の一端を埋めることはできたと考えている。

 「ディズニーを目指した男」というタイトルは、単なる「釣り」ではなく、ちゃんと意味をこめており、これはぜひ本書を読んで確かめていただければと思う。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/tsugata/20160810

2016-07-20

吉祥寺アニメーション映画祭

| 00:02 | 吉祥寺アニメーション映画祭を含むブックマーク

 毎年10月に開催される吉祥寺アニメーション映画祭、私も第1回以来、審査員として参加していますが、今年度の第12回大会の作品応募締め切りが、8月8日に迫っています。

 http://kichifes.jp/animation/index.html

 

 全国に数多くあるアニメーション関連の映画祭の中でも、吉祥寺は、「他の映画祭では評価されにくい作品」を積極的に取り上げるようにした、ユニークな映画祭です。

 「他では評価されにくい」って何? という感じですが、たとえば、技術的には荒削りで、実にくだらないけれど笑わせてくれる、一発ギャグ系の作品、というのが典型例です。

 アニメーションを自主制作している方々はもちろん、商業系作品(CFやPVなど)であっても、募集要項にある条件を満たせば出品できます!

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/tsugata/20160720

2016-06-19

アニメ・マシーン

| 01:13 | アニメ・マシーンを含むブックマーク

●「アニメ・マシーン −グローバル・メディアとしての日本アニメーション

 著 者:トーマス・ラマール(藤木秀朗・大晴美 共訳)

 出版社:名古屋大学出版会

 刊行年:2013年

 定 価:6,804円

 

f:id:tsugata:20160619003857j:image

 

 先日、日本アニメーション学会の年次大会が終了した。アニメーションの「学会」など、普通の生活をしていたら一生関わりがないだろうし、アニメのいわゆる研究や批評をやっている立場でも、縁のない人が多いだろう。

 会員は主に大学で研究・教育に従事している人たちだが、どういう成果が出されているのか。たとえば、アニメ監督の作家性とか、作品分析とか、アニメの歴史とか、そういう「らしい」テーマが取り上げられることはもちろん多いのだが、その研究のベースとして、ここ数年きわめて顕著なのが、イギリス発祥のカルチュラル・スタディーズの強い影響下にある研究、そして哲学や文化人類学などの海外の理論を発端としたアニメ研究である。

 「ラカンと言われても、ぼくは羅漢しか知らないので」とは、何年か前の(アニメーション学会ではなく)マンガ学会大会のシンポジウムでの夏目房之介さんのジョークだが、私も似たような認識なので、最近の海外潮流の影響下にあるアニメ研究は、勉強にはなるけれど戸惑いも少なくない。内容や方法論以前に、海外の潮流を踏まえないとアニメ研究ではない、と怒られることさえあるからである。

 しかし、作品を客観化するあまり、さらに横糸として海外の理論を入れ込むあまり、伝統的なアニメ研究者から見れば深刻な誤解を含む、あるいはケアレスミスとも言うべき誤りを含んだままで進められている研究が少なくないと映るのである。

 グローバルの名の下での、近年の学会におけるそうしたアニメ研究が、いわば「応用アニメ研究」だとすれば、「基礎アニメ研究」とはいったい何なのか。問い直してみるのも悪くない。

 トーマス・ラマールの「アニメ・マシーン」は、そうした近年のアニメ研究に絶大な影響を与え続けている著書である。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/tsugata/20160619