岡村靖幸ライブ Zepp Osaka がはじまるまで

開演18:00予定。
中ふ頭駅から歩いて10分ほどでZepp 大阪前に着く。中ふ頭から歩かないと大阪市役所の天下りたちが巣くう大阪トランスポート線に金を払ってしまうことになる。泥棒に追い金。銭形平次じゃないからそんなことはしたくない。だから歩く。てくてく。開演30分前ぐらい。しかし、黒山の人だかり。台風の影響で開演時間が遅れますとのこと。
待ち時間の間、大阪市の無数にある無駄遣いのひとつであるコスモスクエア駅まで行って付近を散歩する。天保山の観覧車やヤバイことになっている UFJ じゃないほうの USJ が、暗くなるにつれて徐々にライトアップされていくさまを楽しむ。
その後、ゆるゆると会場の近くまで戻ってみるが、なかなか入場がはじまらない。しかも、女性が怒鳴っている。

「マニュアルどおりの答えしかできないんかーっ。オマエーっ。」
「なんで、○○できんんのや。オマエーっ」

「オマエーっ」というのが口癖のようだ。

怖いけど、遠くなのでおもしろい。古い考え方かも知れないが、ロックンロール聞きに来てんだから、このくらい怒るのがほんとだろう。羊の群れみたいに黙って行儀よく待てるような人は、岡村孝子でも聞いとけばいいわけで。暴れろ暴れろ、なんて勝手に思う。もちろん、私はそういうことしません。羊です。しかも煙草が苦手なので、チキンジョージとかにも行けません。体弱いし。色白だし。近くまで何かを確認しにやってきたスタッフの愛想も悪かったので、スタッフにもあまり同情できない。だから、この「オマエーっ」さんのヒートアップぶりを楽しみながら待つ。

近くにある電波塔が、無駄に電飾に凝っており、さまざまなパターンで点滅して楽しませてくれる。未知との遭遇みたいだ。ピピピピピ、光が上昇していく。そして、また下降。われわれ夫婦の間では、さっきの「オマエーっ」さんのヒートアップを表すレベルメーターだ、ということになった。「オマエーっ」さん、かなり怒ってらっしゃるようだ。はははは。しかし、よく考えると「オマエーっ」さんが、私の隣に来る確率もあるわけで、他人事とは思えずちょっと怖くなる。何か失礼なことをして「オマエーっ」って言われたらどうしよう。

岡村靖幸の体形がどうなっているだろうというドキドキ感、オマエーっさんが自分のとなりに来たらどうしようというビクビク感、そして、台風の影響ってあったっけ、というナゼナゼ感で頭がいっぱいの状態で、ようやく入場が始まる。もちろん二階席だ。オールスタンディングはムリ。座るとこなきゃ、死んじゃう。30過ぎてオールスタンディングはつらいよね。そりゃ満員電車の通勤で毎日鍛えてる人はいいけど。田舎もんだから、満員電車の経験ほとんどないし、もうムリ。田舎もんには、あのゴミゴミした感じダメだわ。そりゃ、きれいなおねいさんが隣に来て、これがきっかけで、とか、若いときなら思うかも知れないけど、もう知ってるもんね。きれいなおねいさんは、来ません。来るのは煙草くさい身長170cmで毛深い鼻の長い釣り目の男と、身長190cmで体重推定120kg、アフロへアーで、後方10メートルにわたって電波障害対策費を払うべきなのに、そんなことを考えていないヒップホップ育ちのお兄ちゃんくらいだ。若者の夢を壊すようで悪いが。ごめん。
あと、体重83キログラム、身長140cm。一人できてゴリラ踊りをしてものすごく盛り上がる女性が来る場合がある。推定年齢32歳。これは今回実際に私の右側に来てた人ね。スタンディングじゃなくて、座席で、だけど。左右に気を遣っていたのがよくわかった。ども、こんにちわ。

予定に遅れること1時間。ようやく開場した。

入り口でドリンク代500円は別に払わなきゃならない。ここで500円玉貯金したら一挙にものすごく貯まりそうだ。しかも、500円払ってドリンク券と交換してくれるのは、500ミリリットルのペットボトル。原価、利益ともにバレバレである。ありえないが原価が150円としても1,000人入って 35 万円の利益。バイト代とかここから払えるわな。

さすがに、あまりにあからさま過ぎると思ったのか、首から引っ掛けるペットボトル用ストラップをくれたけど、こんなのに500グラムの錘をぶら下げて、首に引っ掛けたら、首痛めるちゅうねん。

岡村靖幸ライブ Zepp Osaka はじまった

座って待ってた私たちはいいが、一階で立ちっぱなしの人々はどうだったんだろう。私が見てるかぎり、三分の一くらいの人が開演前に貧血で倒れて担架で運ばれていっていたようだ。いや、それは嘘。担架は見えなかった。倒れた人はそのままでみんな踏んづけながらライブがはじまった。いや、それも嘘。そんなことはありません。

いつものオープニングだ。薄めの幕に舞台側から光を当てて、そこで踊るダンサーの影を映す。この時点で、その細身の影が岡村ちゃんのだと勘違いする場合がある。前回の Zepp 大阪の時がそうだった。ずいぶん前のシアタードラマシティーのときもそうだった。が、もうほとんどのファンは引っかからないだろう。

疑い深そうに舞台を見つめる1,000人以上の観客の前に、岡村ちゃんが登場。ああ、進歩している。体重が減ったかどうかはわからない。しかし、ピチピチのピーコートを着て、体の膨張をより誇張してしまうような真似はもうしていない。さらに、今回の工夫は髪型だ。もともと身長が3メートル近くある岡村ちゃんだが、髪を立たせて頭の上1メートルくらいまで伸ばしている。体の幅と、髪のてっぺんまでの身長を比べた場合、錯覚なのかもしれないが、日本人の標準体型くらいに見えるのである。つまり、身長2メートルで体の幅が1メートルだったら太って見えるが、身長4メートルで体の幅が1メートルだと標準体型に見えるだろう。そういうこと。どういうことやねん。スタイリスト偉い。ピーコートの時のスタイリストは死刑。同じ担当者だったら、上半身死刑、下半身国民栄誉賞である。執行猶予で、逆も可能としよう。

ダンサーたちも身長は高いはずだが、身長が3メートルある岡村ちゃんの前では小人同然。白雪姫と七人の小人に見えてしまう。また、ダンスの様子も、ファッションも似ても似つかないが、氣志團のバックダンサー「微熱DANJI」にも見えてくる。不思議なダンサーたちだ。

ライブ開始直後の盛り上がりはすごかったが、20分経たないうちに、ほとんどの人がスタミナ切れしてた。あげていた手が下がっていく。瞬発力と、その後のスタミナ切れ状態が K1グランプリの曙を見るようで痛々しい。これだけ負け続け、相手のランクを落とし続けてたら、次はテコンドーの岡本さんくらいが相手になるだろう。そしてまた負ける。それはそれで観たい気がするが。特に、一階左前方の客席に疲労の色が濃く、すでに限界を迎えている様子がはっきりとわかる。岡村ちゃんも考えてやれよ。ファンも30代後半が増えてきてるんだから、オールスタンディングは辛いだろ。どうしてもオールスタンディングにするなら、建蔽率60%くらいに抑えて、会場後ろには、リハビリセンターと、足裏マッサージ、タイ式マッサージのお姉さんと仮眠室、さらに老人ファンのための特別養護老人ホーム「だいすき」を用意すべきだ。それでも 50%くらいはライブ途中で脱落して帰っていくぞ。このままだと。

そうはいいつつ、紅白歌合戦にでるものとは違う心のヒット曲を連発させたライブは盛り上がりのうちに進んでいく。
すでに、筋肉中のエネルギーをすべて使い切り、クエン酸回路によって作られたまさに身を削ったエネルギーを使って飛び跳ね、手を振り上げる信者たちが10%。すでに、レースから脱落して、オリンピック途中リタイヤのラドクリフ状態。泣きながら、ライバルが飛び跳ねるのを見つめている敗残兵が80%。ラドクリフ君といえば、ハリーポッター最新作、売れ残り続出らしいね。ふーん。そして、関係なく二階でマイペースで楽しむ人々が10%。悲喜こもごもであります。