古代蝦夷の英雄時代

古代蝦夷の英雄時代 (平凡社ライブラリー)

古代蝦夷の英雄時代 (平凡社ライブラリー)

古代にエミシと言われた東北の人々が、今のアイヌ人と同じ祖先だったのかどうかは、未だにはっきり結論できないとのこと。
ただ、アイヌ語で川を意味する「〜ナイ(稚内とか)」や「〜ベツ(登別とか)」と言った地名が、南は福島まで残っており、また、マタギ言葉でもアイヌ語の名残がある。
(だからアイヌ人と共通の祖先が関東の辺りまで住んでいてもおかしくないと思う)
また、弥生時代に稲作は本州の北端まで伝播したが、4世紀以降に寒冷化し、奈良時代頃に再度温暖化するまでの北東北は、北海道と同じ狩猟採集と交易を中心とする続縄文〜擦文文化だったのだそうだ。その境界というのが、今の盛岡市近辺だったらしい。
そういう意味で、エミシ固有の文化があるというよりは、エゾ(後のアイヌ)とヤマトそれぞれの文化の受容のバランスが、土地や集団によってそれぞれ異なるに過ぎないようだ。
興味深いのは、平安時代後半の北東北で、弥生時代の瀬戸内海沿岸に見られるような高地性集落(防御性の高い山城)が発見されだしていること。国家が出現する前段階の、王ではなく英雄に統率された集団同士の競り合いが発生していたようだ。
エゾというのは平安時代後期から使われだした言葉で、それ以前は北海道も含めてエミシだったようだ。