第69話 願い下げ〜

     『Kissing You』MV Making


AD「少女時代のみなさーん、着替えが終わりましたら、スタジオへお入りくださーい」
少女時代「へーい」
ぞろぞろ…
ユリ「わ、可愛いセットやん」
ヒョヨン「まさにウチをイメージした乙女チックなデザイン」
ジェシカ「アホ抜かせ。自分をイメージしたら全部ババ色に塗られてまうわ」
クッキーマン「アイドルがババとかゆうなよ、汚いなぁ」
テヨン「ちょっと待て、なんで自分だけマント羽織っとるんや?」
ユナ「そらウチがセンターメンボやからやないの」
テヨン「いつから貴様がセンターになったんや?」
ユリ「ホンマやで。タマンセの頃はウチがセンターやったのに」
テヨン「とにかく脱げや、それはウチが着る(ぐい)」
ユナ「ちょっと、破れるから引っ張らんといて」
テヨン「しぇからしか! よこさんか、バカチンが」
どったんばったん
ウキャー、ウキャー
クッキーマン「やかましい! さっさと一列に並べ。
  今から飴ちゃんを配るよってな」
テヨン/ユナ「(ピタ)お、配給や。ケンカしとる場合やない」
ぞろぞろ
AD「すげえ、終戦直後の欠食児童みたいや」
クッキーマン「ええか、今配った飴ちゃんはあくまで持ち道具やよってな。食いモン違うど」
ユナ「そやけど、本物の飴ちゃんやろ?」
ソニ「乙女にとって甘いものゆう誘惑には打ち勝てない。
  ちょっとだけ舐めたろ」
ぺろりん
ソニ「あ、うめー」
テヨン「マジか? ほなウチも(ペロペロ)」
ティパニ「よーし、ロス時代に鍛えたウチの舌技、見せたるわ!(ギョイーン)」
ジェシカ「おお、ワイルド&高速スピンや!」
スヨン「(バリバリバリ)おかわりください!」
クッキーマン「噛み砕くんじゃねぇ! 獣か!」
AD「そうでなくても照明で溶けやすくなってるんですから、大事に使ってくださいよ。
  はい、おかわり」
スヨン「おおきに(バリバリ)」
AD「人の話を聞け!(ガウー)」
クッキーマン「数に限りがあるんやって(呆)」


監督「ほな音楽流すさかい、一回通して演ってみよう」
少女時代「へーい」
録音部「音出しまーす」
♪チャラチャラチャー
少女時代「♪トゥットゥルゥ、トゥットゥットゥ、Kissing you baby…
ユナ「あ…」
ピューン
スヨン「お、ユナの飴ちゃんが飛んで行って床に落ちた。あれはもお使い物にならんから、ウチが食すとしよう。
  5秒以内に拾えばセーフやから」 ←麒麟田村著『ホームレス中学生』より
AD「監督、ユナさんのキャンディーが」
監督「止めんでええ。テスト代わりに最後まで回そう」
AD「へい」
ヒョヨン「おっと」
ペキン
ソヒョン「わっ」
パキパキ
ティパニ「どすこい!」
ゴリゴリゴリ
スヨン「わぁー、ウチの飴ちゃんが何度も踏まれて粉々に」
ジェシカ「自分の飴やないけどな」
♪ジャン!
監督「OKでーす。キャンディーを補給してもう一度撮ります」
スヨン「勿体ない、勿体ない」
ペロペロペロ
クッキーマン「誰や、床の飴ちゃん舐めてる奴は!(恥)」
ティパニ「スヨンイでーす」
ガツガツガウガウ
ソヒョン「うーむ。まるで第14の使徒ゼルエルを捕食する初号機のようや(呆)」
ジェシカ「今の奴なら初号機かて食うかもしれんな(笑)」
クッキーマン「ええ加減にせえ!」


監督「ほな、もう一回ね」
♪チャラチャラチャー
ソヒョン「♪いたずらな自分のポッポで紀文のかまぼこ…(ピューン)あっ」
ユナ「♪可愛ゆくおすまししてみても…(ピューン)わっ」
テヨン「♪いつの間にかウチはオボコみたいに…(ピューン)げげっ」
ピューン、カツン
ピューン、カツン
AD「あきまへん、照明の熱ですぐキャンディーが溶けてしまいます」
クッキーマン「こりゃあ実際の活動となったら本物の飴は使えんな」
監督「そやけど、今日の所はこれで乗り切るしかないがな」
AD「もお全員棒しか持ってない状態でっせ」
監督「いっそ箸もって踊るコンセプトに変えるか?」
クッキーマン「アホ抜かせ。それこそ欠食児童の集団になるわ」


AD「いったん休憩に入りまーす」
ソヒョン「なぁなぁ、このクレーンカメラの制御、コンピューター?」
影技師「モーションコントローラってこと? いや、上(副調整室)でリモコンで操作してるんやけど」
ソヒョン「なんや、人力かぁ。日本のMVなんてすぐモーションコントローラとかCGとか使うのに」
ジェシカ「無理ゆうなや。こっちは飴ちゃんまで実物使うてるくらいやで」
監督「そおゆうことはミリオン売り上げてからゆえや。小生意気な」
ジェシカ「ふん。ミリオン売り上げたら、自分みたいな監督使うてやらへんからな。全部キャメロンに発注したる」
ソヒョン「キャメロンはさすがに無理やろ。せめてデヴィッド・リンチとかにしないと」
クッキーマン「マニアックすぎるがな。誰が『イレイザーヘッド』みたいなMV見たがるねん。デスメタル違うねんから」
ティパニ「ウチはフランク・オズがええなぁ」
クッキーマン「人形劇か! 貴様ら人形で登場する気か」
ヒョヨン「ウチは本多猪四郎キボンヌ」
クッキーマン「怪獣の着ぐるみ着て東京タワー押し倒すんかい! ギレルモ・デル・トロにリスペクトされたいんかい!」
ユリ「神代辰巳もええなぁ」
クッキーマン「『一条さゆり・濡れた欲情』か! 少女時代がロマンポルノなんか出たらあかん。
  せめて『地獄』にしなさい」
ユリ「(こけ)それかて近親相姦、不条理映画やないか!」
監督「なにこの濃すぎるセレクションは?(呆)」


ソニ「(くりんくりん)おお、クレーンカメラを使って上から見てみると、ココマの頭頂が薄くなってることに気付いたで」
テヨン「ええっ? マジで?」
ヒョヨン「もともとボリュームの多い髪じゃないよってな」
ユナ「もお歳やし」
テヨン「まだ19歳や。失礼な」
ソニ「(くりんくりん)ぴゃー、2階からの景色とはこんな感じか? 見るもの総てが新鮮や」
スヨン「そお? 見慣れた光景やけどな」
テヨン「人間クレーン野郎め…いつか、上から見下ろしてやるからな」
ナレーション:そんなテヨンの望みが成就するのは2年後の夏…『親友ノート』まで待たねばならなかった


ユナ「そおゆうたら、夕方からドンヘの奴が来るんやろ?」 ←呼び捨て
テヨン「そお聞いたで」
ティパニ「ドンヘがウチら全員の彼氏役ってことらしい」
ユリ「げぇ」
スヨン「ドンヘって、実際どおなん? 自分詳しいやろ?」
ジェシカ「詳しいゆうたって…そやなぁ、ナルちゃんやな」
ソニ「それは誰かて知ってるわ。ナルはええねん、扱い慣れとるから。他には?」
ジェシカ「えーと…あ、すげー細い」
ティパニ「Oh,No! それだけで興味失せましたネー」
スヨン「あとは?」
ジェシカ「そんで”仮”や」
テヨン「わ、最悪やん」
ユナ「人間のクズや」
クッキーマン「なんでそんなことでクズ扱いされなきゃあかんのやろ? ナルは認めたくせに(呆)」


AD「ドンヘ、入りまーす」
ユナ「スタッフにまで呼び捨てにされてるわ(笑)」
がちゃ
ドンヘ「(すっ)やぁ、子猫ちゃんたち、元気?」
ヒョヨン「アホが来たぞ(笑)」
ユリ「元気か、やて? 見ての通りやがな」
ドンヘ「OK、OK、だいぶお疲れの様子」
ヒョヨン「何処見てるねん? ピンピンしとるがな」
ドンヘ「そやけど、ワイが来た以上心配はノーサンキューやで。
  イ・ドンヘの魅力で、このMV、今世紀最高の出来にしてみせるからね」
ティパニ「キモいことゆうな、この細マッチ○コ」
ドンヘ「ほ、細マッチ○コ?」
ユナ「カリが”仮”のくせに、人並みに口きくな」
ヒョヨン「酸素吸うな」
ソヒョン「Tウィルスに感染せえ」
ドンヘ「えらいゆわれようやな。まぁええ、嫌い嫌いは好きの裏返しゆうし」
ソニ「おえええ」
ヒョヨン「ノンスタ井上ばりにハートが強い奴やな」
テヨン「誰や、それ?」
ヒョヨン「今上方でブレイク中の漫才コンビや。来年には東京進出するらしい」
テヨン「へー」
ドンヘ「そんなことより、ワイの下半身の秘密をなぜみんな知ってるんや?」
ジェシカ「どきっ」
ドンヘ「もしかしてだけど、宿所の風呂を覗きに来てるんじゃないの?」
ジェシカ「やかましい! 貴様なんか、中国人に悪態ついてればええんじゃ、ボケ!」
ドンヘ「ぴゃー、やっぱジェシカの罵倒は効くなぁ。ええパンチ貰うた気分で、爽快爽快(はっはっは)」
ジェシカ「相変わらずド変態や(呆)」


監督「ほな、サビの部分、ドンヘ入れて行くで」
少女時代「へーい」
♪チャラチャラチャー
ドンヘ「さぁ、もっとこっちへ寄って。あの頃のことを思い出しながら歌うたら、ずっとよくなるで」
ジェシカ「アホか、貴様なんか ♪願い下げ〜
監督「おお、素晴らしい高音の伸び、さすがジェシカや!」


ナレーション:なにはともあれ、少女時代はこの『Kissing You』でかつてない成功を手にするのであった。
ドンヘ「ワイのおかげやでぇ」
クッキーマン「ハイハイ…(諦)」






※2008年1月11日(金)、KBS『ミュージックバンク』において『少女時代』での活動に終止符を打った少女時代は、
 わずか2日後の13日(日)にSBS『人気歌謡』に『Kissing You』でカムバックした。
     初お目見え
 それに前後してMVも公開され、誰もがその愛らしい姿に心をときめかせた。
 1stアルバムから2曲目の活動曲となる『Kissing You』は、清純なルックスと夢見る少女らしい小道具を用いた振り付けなどで、ワンダーガールズとは異なったイメージを創出することに成功した。同時に高い実力や豪華さなど、SMエンタ特有の魅力は継承している。
 この新しい個性はたちまち大衆の心を掴み、地上波4週連続1位という快挙を達成することになる。