青年のための読書クラブ

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コミカル④癒し③燃える③
桜庭一樹青年のための読書クラブ』新潮社,2007


伝統ある乙女の楽園・聖マリアナ学園で起こる珍事件の数々が、読書クラブ員の手によって記されています。読書クラブははっきりと表立って行動することがほとんどない代わりに、暗躍っぽいことが多くて心躍りますね。


烏丸紅子恋愛事件」は1969年の話。アザミを筆頭とした地味で暗い読書クラブの面々が、外見はよいが知恵がついていない紅子を、聖マリアナ祭で選出される王子に仕立て上げようと奮闘する姿します。消しゴムの弾丸にはなぜかニヤニヤしてしまった。
聖女マリアナ消失事件」は1960年の話。マリアナが学園を設立しそして失踪するまでの出来事が描かれています。
信仰生活に励む妹のマリアナと温和な性格をしている兄のミシェールが主な登場人物。教会で厳しい生活を送るマリアナと読書クラブを運営してその日を暮らしていくミシェールはかなり対照的だけど仲が良く、だからこそ最後のあんまりな仕打ちにちょっと涙が出そうになったよ。
奇妙な旅人」は1989年の話。バブルの波がマリアナ学園にも襲い掛かり、しかし撃退されて革命の首謀者たちは読書クラブへ逃げ込みます。日本拳法だとか扇子でのバトルが楽しいそうな感じを与えてくれますよ。この辺りの言葉の選び方が大好き。
一番星」は2009年の話。ロックスターとなった十五夜と彼女が慕う凜子の関係が描かれており、凜子のボーイフレンドの謎などが展開されます。凜子はクールでかっこいいし、十五夜も神秘的でなんかそそられますね。十五夜に振り回されるのも、ちょっといいかも。
ハビトゥス&プラティーク」は2019年の話。少女だけの楽園最後の年にいた、たった一人の読書クラブ員と「ブーゲンビリアの君」事件の顛末が描かれています。



読書クラブのかわいいクラブ員たちと語らうことができないだろうか、という妄想に青少年を駆り立ててしまうほど魅力的なキャラクターばかり。彼女たちが織り成す、とても楽しい物語でした。
いつか彼女たちと出会い本について議論できるときを期待しながら、私は読書感想を日々記し続けることにいたしましょう。


桜庭一樹さんの作品感想


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