「あなたに不利な証拠として」ローリー・リン・ドラモンド。

これは凄かった。
5人の女性警官の物語。
犯人を射殺した過去に囚われ、警官だった夫は犯人を取り押さえようとして射殺され、自らも犯人に切り裂かれ命を落としたキャサリン
交通事故で負った怪我のため警官を辞したリズは、かつて遭遇した事故で大怪我をした男と自分を重ね合わせる。
モナは、警官だった父の家庭内暴力に傷ついているのに同じ職場を選んでしまった。
ナイフで刺されレイプされた女性は自作自演と認定され、そのときの刑事と結婚したキャシーは、夫の犯したかもしれない過ちと再捜査を願う女性との間で苦悩する。
拷問を受け殺された女性を悼むあまり、とんでもないことをしてしまったサラは、何もかも捨て逃避行する。


キャサリンの2つ目の話「味、感覚、視覚、音、匂い」は、研ぎ澄まされた五感を駆使して事件に挑む心構えを説いた話だけれど、この話だけではなく本書全編に渡って、臨場感は凄まじい。
血の臭い、死臭、手触り、物音、飛び込んでくる光景がリアルすぎて、頭から抜けなくなる。
そして、抜き差しならない場所に飛び込む時の心情、磨耗していく神経、やがて壊れていく日常生活など、そういったものが淡々と語られていく空しさ。


かなり後を引く作品でした。

書店のレヴュー

警官を志望する若きキャシーがマージョリーと出会ったとき、彼女の胸にはステーキナイフが深々と突き刺さっていた。何者かが彼女を刺し、レイプしたのだ。(「傷痕」)◆市警察に勤める5人の女性警官の物語。凶悪な犯罪と対峙することが常の彼女らに、いつも突如襲い掛かる恐怖と死。作者自身が警官だった体験を持つが故の臨場感は、あたかも読み手が現場にいて銃口と向かい合っているような錯覚を与えてくるほど。◆本書を読むと、彼女たちがなぜ警官でいるのかわからなくなる。職務を全うしようとする姿勢はあっても、それは市民の命を守る正義感とはかけ離れているようなのだ。体に染み付いた死臭、いつも張り詰められた感覚器官、心穏やかになることが無く崩れていく私生活。最後の「サラ」の話では、男性社会の組織で過酷な職務を強いられた彼女らはとんでもないことをしでかしてしまい、あげくサラは逃亡してしまう。彼女に平安は訪れるのか…。純文学といっても過言ではない警察小説。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀短篇賞受賞。06/11/06

「犬はどこだ」米澤穂信。

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)

最後の、追う側と追われる側が逆転する瞬間に恐怖しました。
女は恐ろしいです。こういう人に狙われたくないものです。
押しかけ助手ハンペーが、意外と使える奴で可愛いのと、妹梓のドラテクがかっこいい。
続きはあるのか?

書店のレヴュー

アトピー性皮膚炎のため勤めていた銀行を辞めた紺屋。半年の引きこもりを経て社会復帰のため犬専門の調査事務所「紺屋S&R」を立ち上げ。ところが舞い込んだ初仕事は「人探し」と「古文書解読」。◆全く関係ないと思われた2つの依頼が実は交差し重なっているのに、紺屋と助手のハンペーは別行動のため気付かない。このじれったさを通り過ぎた後の、一瞬にして真相が裏返る様が見事。逃げる側があっという間に追う側にまわって、ラストはちょっと恐ろしい。ホント、女は怖いです。続編希望!06/11/06★★★

二号が、不登校っぽい事由で学校を欠席。
朝に吐き気がする、とかいってごねた(わりに、朝食は全部食べたし)。
ゆるゆる聞き出して、ほぼ原因はわかったが、なんだか限りなくわがままに近い。
今巷で話題のいじめではなく、どうやら先生が怖いらしい。それも自業自得で。
誰でもイヤになるときはあるだろうけど、何とか折り合いをつけていかないと、身動きできなくなるだろうな〜でも休んで色々考えたのもよかったかもしれない。
……っていうか、考えるのは連休中に終わらせて欲しかったわ、母は。