猫車(ネコグルマ)
安曇野は池田町の山手のある喫茶店へ行ったら、入口横に、なにかモニュメントのように猫車が置いてあった。妙にまわりの空気にとけこみ、こういう使い方もあるのかと感心。もっとも必要な時は、そこから移動して使うかもしれないが。この猫車といえば、私のメールマガジン「安曇野(あづみの)通信」にもちょこっと書いたことがあるが、その由来など面白い。
猫車(ネコグルマ)、略して単に”ネコ”とも呼ばれるが、建築や土木作業、農作業に活躍する手押し一輪車のことである。現在は、手押し部分、ものを積む容器部分は鉄製、車輪はタイヤになっているが、古くは車輪部分を含め木製などのものもあったようである。
他の人がこれを使って作業しているのを見るとたやすそうに見えるが、実際やってみると、最初は平衡を取るのがなかなか難しく、左右にふらつき、使いこなすのには多少の時間が必要である。
ネットに、ネコグルマの父は、中国のChuko Liang(181〜234)だと出ていたが、中国から世界各地に広まったのか、それとも見たところは簡単な仕組みなので、古代から各地域で自然発生的に発明され使われて来たのか。日本ではいつ頃から使われて来たのか、やはり中国から伝わったのか。中国では猫ではなく、「鶏車」と呼ばれてきたらしいとも出ていた。
さてなぜ猫車と呼ばれるようになったかである。結論から言えば諸説あるが、確定的なものはなく不明である。いつ頃からそう呼ばれたかもわからない。ネコグルマという呼び方も日本独特のもののようである。英語では、a wheelbarrow。その由来などをネット及び故事語源辞典などから列挙してみた。
1.猫の首のように、どの方向にも曲げられることから。
2.逆さに伏せてみると、底の部分が丸まって寝ている猫の背中に似ている
ことから。
3.工事現場などの細い板で作った足場を「猫足場」と言い、そこを通るこ
とが出来る運搬車なので...。
4.猫のように運ぶ時、ゴロゴロと音を立てることから。
5.漆喰(しっくい)を練った「練り子」を運ぶために用いられたので、略
して猫車に...。
6.古代、海岸や河口で取れる砂鉄のことをネコと呼んだ。奈良時代以後、
山で取れる鉄鉱石もネコと。こうした鉄の鉱石を運ぶのでネコグルマと。
7.昔、猫の後ろ両足を持ち上げて、前両足で歩かせる遊びがあり、その
格好と一輪車でものを運ぶ格好が似ていることから。
8.中国の三国時代、蜀で兵糧運搬用に開発された木牛流馬と呼ばれた運搬
道具の小型モデルが一輪車に相当するのではないか。「木牛流馬」のこ
とはフリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)にも載っている。
以上、諸説いろいろだが果たして...。それにしてもこうもさまざまな由来の説があるのも面白い限りである。