年賀状の解説。


めっちゃだらだらすごしています。こんなに弛緩したのは、海の日以来ですかね。でも、これも束の間。2006年の第一波がすぐに訪れることが正確に予測されているので、三が日+1日は、もうこれ以上は緩めないというくらいまで徹底的に弛んでみようと思います。

さて、画像は、私用のリアルの年賀状の素材。モノでパーソナリティを表現するというきわめて俗っぽいことをやっているわけですが、年末のあわただしいなか、1時間程度でアイデアから仕上げまでを完了しなければならないときに、1年間の総括と家族の成長を紹介するには使える一発アイデアではあります。
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手前に並んでいる3冊の本は、2005年に読んだ、良い本。未整理棚に散っていたのを、写真うつりなどの要素も加味しながらパパッとみつくろったもので、そういった意味では、まったくコンプリートなベストではない。たとえば、月並みだけど『告白』とか『半島を出よ』なども入っていないし、『河岸忘日抄』『退廃姉妹』なども忘れている。読み直してやっぱりよかった『白鯨』『夜の果てへの旅』なども抜けている。『小説の自由』『現代小説のレッスン』、急遽参戦した『デヅカ・イズ・デッド』など評論のようなものも入っていない。『失踪日記』などのマンガも。もっとまじめに考えりゃよかった。

もっとも、選んだ3冊はどれもすばらしいもので、小説ってやっぱりよいよねと、再認識させられるものばかりではある。とりわけ、昨年の青山真治の執筆活動には、わりと打ちのめされた。写真の『死の谷'95』は、深読みすればいろいろなオマージュをうまくまとめているところもあり、それはそれでテキストとして面白いし、当然だけれど映像への欲求を喚起させる巧みさはよりシャープになり、青山真治は小説家としての腕前をかなりあげたともいえる一冊となっている。これはおそらくちょっとしたTVドラマなんかでやると、毎週火曜日の夜が愉しみになりそうな内容なんだけれど、きっとTVドラマになりえないのは、やはり95年の風景の描き方ということになる。もちろん、作中で95年のいくつかの事件を主軸としているというわけではないんだけれど、日本を覆った95年のムードをなんとか記憶に残しておきたいと考えたときの書き方のひとつとして、あこがれてしまう。知られたところでは『神の子どもたちはみな踊る』があるけれど、これとて形になるまでにずいぶん時間がかかったわけで、これを考えると、1995は、日本人にとって911より格段にハードルの高いテーマだということになるのだろう。素人が「あこがれ」るなんていうのはおこがましい話だ。そういったなかで『死の谷'95』は、10年間のじゅうぶんなタメのあるジャンプになっている。

青山真治は、このほかにも『ホテル・クロニクルズ』を上梓していて、こちらはどちらかというとその形式に感銘を受けたんだけれど、同じ奇譚の表現の仕方としては、村上春樹のものより巧みかもしれない。これってエッセイ?日記?と思われるようなエピソードがいつのまにか、シームレスにフィクショナルな物語として落ちていく。たぶん、実際の出来事の含有率は高いと考えられるけれど、エピソードを記憶にとどめ切り出すこの感覚は映像での表現の鍛錬を通過した人だからこそできる技術なんだろう。ああ、こんな書き方もありなんだと真似したくなるけれど、こちらも一筋縄ではいかないはずだ。

写真のほぼ中心にあるのは、このBLOGでも何度かふれてきたブルース・スプリングスティーン『明日なき暴走 30TH ANNIVERSARY EDITION』の。ソニー・ミュージック・ダイレクトは商売がうまいなあ、といった猜疑のこころを吹き飛ばしてしまい、むしろさすがソニーと思わせてしまうような企画となった。
デジタルリマスタリングされた『Born to Run』をさっそくipodに投入し、細部を聞き込んでみると、うん、ここは欲しかった!といった要所が鮮明になっており、けっして原盤を損ねることのない仕上がりになっていることがよくわかる。ここまできたら『Darkness on the Edge of Town』リマスタリングさえ期待してしまうわけです。

さて、ipod。画像でわかるように、昨年、一気に2台も買うことになった。最初にわたしがnanoを購入し、これに強い刺激を受けた娘が製造中止で品薄になっていたminiをなんとか探しだし入手したという次第である。
いろいろなところで言っているけれど、昨年は、日々のタフなストレス・ライフが、ipodを介した音楽にずいぶん救われることになった。結果的に新しいもの、昔に聞いていたもの含めて、たぶん前年比500%程度は、音楽を聴いたと思う。

nanoの方は、たとえばブルースの公式に入手可能な全音源や、ジャクソン・ブラウンなどで一気に1000曲が埋まってしまいプレイリストをいくつもつくるのが面倒になってきたので、ちょっと大きめのipodが欲しくなってきている状況ではある。年末から正月にかけてようやく読み終えることができた13巻までの『のだめカンタービレ』(14巻は1月発売)の影響をもろに受けて、正月からウィーンフィルニューイヤーコンサートなどもろもろのクラシックのTVプログラムを聞き続けていることもあり、今年が終わるころには、場合によってはプレイリストは大幅に変容しているかもしれない。
ちなみに、miniのほうは着々とspitzのナンバーで埋まりつつあるようだが、こちらも今年終わるころには、きっと1000曲では厳しくなっているにちがいない。