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「南洋」
花も紅葉もない南方で
陣地を築く人夫の労働
不眠の夢の爆撃は夢
畑を焼き払う兵士の傲慢
オランダ人の残した邸で
秋も冬もない1日の終わり
不眠の夜に甦る記憶
畑を駆け回る犬を追う子ら
ヤシを通して滲む陽光に
水を求めた行軍の果て
眠りの度に内地を忘れて
言葉を交わさない兵士の群れ
Lifetime
人が生まれ
人が育ち
雨が降り
作物は育ち
鶏が歩き
鶏を殺し
子が生まれ
子が育ち
作物は枯れ
鶏は飢え
友が死に
雨が降り
作物は育ち
鶏が走り
人が死に
人は弔い
子が生まれ
子が育ち
人は死ぬ
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「中央線の挽歌」
奴隷たちの朝に人が死ぬ
食べ残した最後の晩餐からテーブルクロスを引き抜いて
手品みたいに日常が消えて奴隷たちの日常だけが残っている
鉄と車輪のきしみの音
生きてることに意味なんてないし
悲しみや不公平が多いこともあるから
割と死神のファンで鎌だって2つくらい持ってる
頬だってファッションでげっそりこけて
人々の朝に奴隷が死ぬ
朝露が乾くみたいに静かに
12月の鉄たちの行進に飛び込んで
葉と空気の触れあう音
僕たちは悼んでいるんだ
速度を落とした車両の中で押し黙って
午前中の仕事を調整した後に
何の言葉もなしに
天使が通り過ぎる一瞬の間だけ
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「テロ」
工業製品としての恐怖が夜の街をうろつく
目を悪くする品質管理をすり抜けて
掃除機たちは今も太平洋に沈み続けている
余生だと勘違いした戦艦に先輩風を吹かされて
僕の神様は都合よく助けてはくれない
草木衆生に責任があるわけではないから
祈りは時々詩か言い間違いのように
自爆犯やレジ打ちバイトの口にのぼる
大衆向けに味付けされた恐怖が仕事をサボる
バグだらけの管理システムに記録されて
新聞紙が住宅の材料として需要を伸ばした
記者会見はいつも公園のベンチの上で
君の神様はそんなに都合がいいの
詐欺師か詩人に騙されているわけではなくて
祈りは避け損なってぶつかる空気みたいに
想像界を賑わせてはすぐに悪口に変わる