木造2階建ての新商品を売り出したが、間に合わなかった

記者の目:改正建築基準法 中小地場は悲鳴=鈴木勝一

  1. この工法は改正法で新たに構造計算が必要になった「混構造」
  2. 改正法だけが破綻の理由ではないが、同社社長は「(混構造でない)木造2階建ての新商品を売り出したが、間に合わなかった」
  3. 鉄筋コンクリート外断熱工法を開発し、低価格の3階建て住宅を販売して成長していた札幌市内の住宅メーカーも、改正法で3階建ても対象となり、建築確認手続きが厳格化した影響で着工が滞り、昨年12月に破綻した。

 遅れていた工事が動き出す

かぶの先読み/エスアールジータカミヤ(2445)

  1. 建設用仮設機材(外部用足場材など)の大手レンタル企業。
  2. 08年3月期連結営業利益は、改正建築基準法の影響から2%増益と、小幅な伸びにとどまると岡三証券では予想している。
  3. 関西地区では大手家電メーカーの工場新設などの動きから需要が旺盛で同法の影響も軽微のようだが、関東地区では影響が大きいようだ。ただ、同地区でも回復の兆しが出てきているもよう。
    1. 遅れていた工事が動き出す
    2. 関西地区での需要が引き続き高水準であると推測される
    3. 高速道路建設など官需の動きも期待できる
  4. 鋼材高により仮設機材の仕入れ価格上昇が予想されるが、大量仕入れで価格上昇は抑えられよう。
  5. 昨年11月から仮設機材の製造・販売などを行うダイサンと業務提携に向けた検討を開始。
  6. この業務提携により、安全性・施工性の高い仮設機材を開発し、安定供給を目指すもよう。
  7. メーカーである同社との提携は、競争力を高めるものと思われる。

 検査機関がチェック機能を果たしておらず

アパート施主、設計「偽装」と提訴へ 検査機関や県へ

  1. アパートの構造計算書が偽装されていたにもかかわらず県指定の民間確認検査機関が偽装を見逃したとして、本島中部のアパート経営の男性が同機関と県、建築業者と建物を設計した建築士を相手に建て替え費用など約1億1500万円の損害賠償を求める訴えを21日に那覇地裁沖縄支部に起こす。
  2. 原告代理人によると建物は2005年12月に完成した。
  3. 建築業者が建築確認申請時に提出した構造計算書は地上4階建ての建物として計算するべきところを地下1階、地上3階として計算するなどの偽装があったという。
  4. 構造計算書では設置することになっていた耐震スリット(地震時に柱と壁がぶつかり合って損傷しないよう設ける遊び部分)が実際の図面にはないほか、構造計算書よりも図面の方が床板が薄かったり、柱の横筋の間隔が広いなど構造計算書と図面との食い違いもある。
  5. 建築基準法施行令は震度5地震で損傷が生じない程度の安全性を満たしていなければならないと定めているが、このアパートは震度5地震に耐えられない恐れがあるという。
  6. 原告男性が建物引き渡し後に別の建築士に確認を依頼し、問題が発覚した。
  7. 原告代理人は、「指定確認検査機関は県内2カ所しかなく、ほかにも同様の事例が潜在している可能性がある」と指摘しおり、「構造計算書と図面を見比べればすぐに分かる誤りだ。検査機関がチェック機能を果たしておらず、指定機関とした県にも責任がある」と話している。

 職務上の義務を果たしていた

静岡市マンション耐震偽装 静岡地裁初の口頭弁論

  1. 静岡市駿河区の分譲マンションの耐震強度不足問題で、建築主のTOKAI(静岡市葵区)が、設計業者や建築確認をした静岡市などを相手に約8億5680万円の損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が18日、静岡地裁(宮岡章裁判長)であった。
  2. 被告は市のほか、設計者の「サン設計事務所」(静岡市駿河区)、構造計算をした「月岡彰構造研究所」(同)、施工者の三井住友建設(東京都新宿区)と建築士ら4人。
  3. 市とサン、月岡は争う姿勢を示した。三井住友建設は取材に対し「係争中なので答えられない」とした。
  4. 訴状によると、TOKAIは2001年12月にサンにマンション設計を委託。
  5. サンはTOKAIに無断で構造計算を月岡に下請け発注した。
  6. 月岡は期限に間に合わなかったため、強度不足を認識しながら誤った計算書を作成。計算結果を示す最終ページだけを修正し、市に提出した。
  7. 市は計算書の内容と最終ページの数値が一致しないことに気付かず、02年5月に建築確認をした。
  8. 三井住友建設は、設計図の誤りに気づかずにマンションを建て、03年3月に引き渡した。
  9. これらの関係者のミスにより、TOKAIは強度不足が発覚後、マンションの買い取り、解体を迫られ、多額の被害を受けたとしている。
  10. 市とサン、月岡の3者は答弁書で損害額について争うとした。
  11. また市は「当時の担当者は法律上必要な計算、検討を確認しており、職務上の義務を果たしていた」と主張し、責任を全面的に否定した。
  12. 三井住友建設答弁書の内容を明らかにしなかった。

 見直し内容について十分に習熟した後に施行する予定

小規模木造住宅に係る構造関係規定の審査省略見直しについて

  1. 建築士法等の一部を改正する法律(平成18年12月公布)において、4号特例の審査省略の対象について、構造設計一級建築士の創設を念頭に、従来の建築物の区分に加え、建築士の区分に応じて定めることもできるよう建築基準法を改正4号特例の見直しの具体的内容及び時期については、別途、建築基準法施行令を改正して決定
  2. 建築士法等の一部を改正する法律」は、平成20年11月末施行予定であるが、4号特例の見直し時期は、必ずしも当該法律の施行期日と関係するものではない。
  3. 4号特例の見直しについては、今後、大工・工務店を含めた設計者や審査担当者向けに講習会を実施することとしており、一定の周知期間をおいて、設計者等が見直し内容について十分に習熟した後に施行する予定。

。oO( 構造設計一級建築士には4号特例(図書省略・審査省略)を認める。構造設計一級建築士の運用開始と同時に4号特例の見直しもするつもりだったが、一定の周知期間を設ける。特に基礎関係が気に成る。

 「改正建築基準法は悪法か」 その3

  1. 6.20は何を目指しているのか。
  2. 建築確認とは、建築基準法には以下のように書かれている。
    1. 建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。
  3. 建築確認とは、法に適合しているかを確認する事。
  4. これは6.20でも変わりは無い。
  5. 行政では「認可」や「許可」と「確認」は使い分けている。
  6. もし申請された図書に問題が有れば、その申請は虚偽であったというような主張をするため「確認」という言葉を使うのかも知れない。
  7. 6.20以前の構造耐力不足での訴訟では行政は「当時の審査方法で適切に処理されており、市の法的責任はない」と主張している(LINK)。
  8. 法に適合していないが審査に過失は無く責任は無いという主張。
  9. 6.20では基準を狭め申請書類を増やし審査項目を増やしているようだが、6.20以降に何かあった場合にも行政は従来通りの主張を繰り返すのではないか。
  10. その一つの現れが設計者に提出をさせる「安全証明書」。もし審査に責任が持てる成らば必要の無いもの。
  11. 安全証明書を取り上げて置けば行政として言い訳も立つという事だろう。この事に限らず全てに於いて申請書類は誓約書や念書のようなもの。事件が起き行政の心配が増えた分の書類が増えただけではないか。行政に責任を持ち込まれないための書類が増えた。
  1. 小川富由審議官曰く「構造設計一級建築士の制度が動き出せば、適判業務の簡素化も可能ではないかと期待しています。」(日経アーキテクチュア2008年1月14日号より)
  2. 構造設計一級建築士に対しては4号特例を認め審査を省略する。
  3. 現在事実上不可な設計変更については、多くの実務実績を持ち社会的信頼に値する資格者(専攻建築士、登録建築家、建築構造士、建築設備士を兼ねる建築士、構造設計1級建築士、設備設計1級建築士)が行う際、従来通り完了検査前までにまとめて変更の確認申請ができるようにすることを要望した(LINK)事に対して、国交省は、現在の混乱が落ち着いたら議論したいとの考えを持っている。(LINK
  4. 6.20で定められた審査は、認定する建築士に対しては省略する。
  5. 審査より人を認定する方向へ向かっている。
  6. 小川富由審議官はこのようにも言っている。(日経アーキテクチュア2008年1月14日号より)
    1. 建築士の数が膨れ上がり、行政による十分なチェックが行き届かなかった部分は反省点です。定期講習や設計図書のチェックなどを通じて、社会が安心できるようにしたい。」
    2. 「一握りの大企業を除く、中小企業が性悪という見方もあった。」
  7. 6.20は審査に責任を持つものでは無く、建築士を選別・認定する事が目的のようである。
  8. 建築士の選別・認定が行政の気に入る形に成れば、適判手続は簡素化され、変更手続なども従来のような形に戻される。

 大手ゼネコンのマーケットが徐々に拡大している

昨年12月7日の記事だが

大林組/海外事業20%規模に引き上げ/白石達社長が方針

  1. 耐震偽装問題をきっかけに信用力のある大手ゼネコンのマーケットが徐々に拡大している」との見方も明らかにした。