平日の記録



最近の、チェーン店でのお茶の記録。
左上から時計回りに、クリスピーにてレモンチーズケーキ。いつもの味。
池袋ルミネ内のオランジェ・カフェドクリエで、クリームトッピングしたカフェオレとクロワッサン。ここはもう行かない(笑)
夜のスタバのテラス席で、おすすめされた夏の新作「ラミントン」のチョコと抹茶。オーストラリアのお菓子らしいけど、とくに抹茶のほう、思いがけず和菓子っぽかった。
暑くて入ったセガフレードでは、カフェドルチェグラニータ。面白い味で涼しくなった。

立川談笑 月例独演会



立川談笑「代書屋」
立川談笑岸柳島
 (中入)
立川談笑居残り佐平次
 (6/21・国立演芸場


最初のトークで30分!内容は「町で見かける人々」「自分が思う『東京人』」など。後で同居人いわく「今日は『これを伝えたい!』って気持ちが強かったみたい」。加えて、客席があったまるまで時間がかかったのかな?と思った。
「代書屋」の冒頭でお馴染みの川柳、談笑の場合は「同じ顔」の理由を添えてくれるから、ちょっとした教養講座みたい(笑)お客は「小田切」「英裕」(自身の本名)。「時代設定がめちゃくちゃ」と自分で突っ込み入れてたけど、この噺って、いわゆるインテリと一般人の間に隔絶があることが前提だから、いじられると余計、元の(私なら枝雀あたりの)完成度を思ってしまう。
続いて「岸柳島」、いつもなら中入後に演るような噺。後の「居残り」とちょこっとかぶるように感じた。しょぼいご老体や何故かトラブル船に乗り合わせる講釈師など笑いを入れつつもリアルで不穏、でも馬鹿馬鹿しいオチで「落語的」に終わる。


中入後は枕無しで「悪い人の噺をします」。談笑版はナマでは初。CDで聴いてたのよりほのぼの要素が減らされ、よりタイトでワルくなってた。
冒頭は、飲み屋で数人に声を掛ける一人の男、つまり本来は「有り得ない」場面。元の噺は若い衆が佐平次をあっさり見逃す?あたりがまずファンタジーだけど、談笑版は暴力を振るおうとする若い衆を、一枚上手の佐平次がよいしょと泣き落としと「金」で懐柔する。対峙する二人の、それぞれ違うワルぶりが楽しい。終盤の「洗脳」&「講習」シーンもいかにも談笑らしい。
幕末太陽傳」よりも、このバージョンの映画、じゃなくて2時間ドラマが観たいな、誰が演ったらいいかな?と考えながら、それこそ「テオレマ」まで思い出しながら聴いてた(笑)

遊雀玉手箱


三遊亭遊雀「十徳」
三遊亭遊雀「不動坊火焔」
立川志の輔バールのようなもの
 (中入)
三遊亭遊雀「包丁」
 (6/22・内幸町ホール)


シークレットゲストは志の輔。本人いわく、こうしたゲスト出演は年に一度あるかないかだそう。「始めに揃って挨拶するの?面白い趣向だね」と言われ恐縮する遊雀さん、同居人いわく「小さく見えた」(笑)
中入前に高座に上ると空気が一変。時節柄、以前聴いたことのある傘ネタからリニアモーターカーに乗った話を経て「バールのようなもの」。さすがに面白い反面、遊雀さんへの言及が皆無、長尺の(しかも、自分でも突っ込んでたけどメイン演者にかぶってる)ネタと、孤高の落語家なんだなと思った。


遊雀さんは「二十年前に母親がこしらえてくれた麻の着物」で登場、着物の話を振ってから(着物に関する)「十徳」へ。始めは固い感じだったけど、クライマックスでは「泣き」も入って大熱演、楽しかった。
続いて「私のマクラはここ(自分の会)で初出しして、受けのよかった所を編集して、寄席が最終形になります・笑」と、「不動坊火焔」用の「仕込みが上手くいかない」話を。この噺は昇太のが好き。遊雀さんのは、前回の「宿屋の仇」同様、終盤またしてもドリフのコントが脳裏に浮かんでしまった(笑・もちろん徳さん役が長さん、瓶持って唖然とする顔が目に浮かぶ)
中入後はお囃子さん付きで「包丁」。この噺って立川流の、談春や二つ目さんが演ってるくらい?犯罪ものでも「人身売買」(加えてほぼ強姦未遂)となれば今の時代、あまり笑えないからかな。たまに聴くには面白いと思う。ただ好みの問題だけど、遊雀さんの演るおかみさんは弱弱しくて気持ちが悪い(笑)

木漏れ日の家で



ポーランドの田舎町、老婦人アニェラは愛犬フィラデルフィアと古い屋敷に暮らしている。
「誰かに紅茶を入れてもらえたら…」と思いながら独り暮らす主人公が、自身の意志でもって、そうした環境を得て「天に召され」る物語だった。


冒頭、町の女医に不躾な言葉を吐かれたアニェラは、クソっと吐き捨てて部屋を出る。雑踏に戸惑うかのような上品な老婦人の顔に、彼女の内心のののしりが重なる映像が可笑しい。アニェラは犬のフィラに向かって喋るだけでなく、独り言も言えば、口に出さずとも心の中でつぶやき続け、映画は彼女の語りで埋め尽くされる。
アニェラは好奇心が旺盛で怒りっぽく、気まぐれだ。意に沿わないフィラに対し「(侮蔑の意味で)あんたの前世は踊り子ね」とか何とか、散々文句を言ったすぐ後に「ついておいで」と主人面をする。孫に向かって「クジラみたいなデブ」と言った後、泣く彼女の頭を撫でようとして拒否される場面では、犬と人間は違うな〜と思ってしまった(笑)



舞台はほぼ古ぼけた大きな屋敷の中のみ、息子や隣人の車から、かろうじて「今」の話だと分かる。
ポーランドの歴史や社会情勢が、セリフの端々に垣間見える。孫にせっつかれた息子がそそくさと帰った後、アニェラはピアノに向かいながら「同志を同居させるよう言われたからそうしただけ」とつぶやく。孫に家の中を見せて回りながら「ここはロシア人を閉じ込めておいた部屋」と言う。二階の窓に現れた少年は、自分たちが通う音楽教室(粗末な「バラック」)のことを「シベリア」と呼び、金持ちの悪口を言う。彼らがやたら「デブ」を囃し立てる背景には、そういう事情があるのかもしれない。ちなみにこの少年は顔つきも登場シーンも素晴らしかった、外壁をつたい降りる場面が忘れられない。
アニェラは鏡の中や庭先に、かつての自分や息子の姿を見る。しかし彼女が思い浮かべるのは、若い、とある時期の自分の姿と、同じく一定の時期の息子の姿ばかり。この家に何十年も暮らしてきて、その時だけが振り返りたい時期なんだろうか?と不思議に思った。


フィラ役の犬はとても可愛い。「自然」な感じでありながら、「言うことをきかない」演技、「言うことをきく」演技ができるってすごい。
出てくる食べ物は美味しそうには見えないトーストと紅茶、来客時の梨くらい。テラスのテーブルは気持ちよさそうだけど、体が心配になってしまう(笑)朝の組み合わせには、年寄りの一人暮らしつながりでケイン様の「狼たちの処刑台」を思い出した。家の周りの環境はさておき、私なら、歳取ってから暮らすなら、掃除が簡単に済むあっちの方がいいな。