道者が争うとき-不争の徳

道者が争うとき-不争の徳

解説

不争という言葉は七つの章に登場する。つまり、争いを避けることは老子の教えの中でも重要な位置を占める。そこで、なぜ争ってはいけないのか、そのメリットとデメリットをまとめた。その結果、道者は必ずしも不戦を貫く平和主義者ではなく、戦うときもあることがわかった。その条件についてもまとめた。
なお、争いとは狭い意味では戦争であるが、広い意味では競争となる。

争うことのデメリット
・戦争は凶作を呼ぶ

争わないことのメリット
・民が大人しく従う
・間違わない
・逆らってくる相手がいなくなる
・民が喜んで支えてくれる
・相手の力を上手に利用できる

争いを許せる条件

争いを許容していると思われる章は以下である。
第三十章第三十一章第六十七章第六十九章
これをまとめると、
・積極的にはしない
・避けられないときに仕方なくやる
・必要最小限で行う
・犠牲者を哀しむ気持ちを持つ
・慈愛を持つ
・目的を果たしたらそこで止める
・相手を軽く見ない
・戦功を手柄にしない
・戦功を自慢しない
・勝利に酔いしれない
・傲慢にならない

こうやってまとめてみると、すごくわかる。ただ、争うメリットと争わないメリットについては書かれていないので、論としては不公平な感じはする。第七十三章のように判断が難しいのかな。