9月に入って、ぼつぼつ咲き始めた「シュウカイドウ(秋海棠)」の花は、月末の今、花盛りで実もできています。
陰気なる秋海棠の小庭かな(高浜虚子)
病床に秋海棠を描きにけり(正岡子規)
これらの句に詠まれている通り、シュウカイドウは、寂しげな印象がぬぐえません。日陰の湿った所を好むためでしょうか。
水分を多く含んだ葉や茎は柔らかく、一見ひ弱そうな感じがしますが、繁殖力は旺盛な植物です。我が家でも周りを取り囲んで柄います。
そのわけは、地下に塊茎があること、3枚の翼のある螬果の中に細かな種子が多数できること、葉腋に無性芽(ムカゴ)を着けること、これらによって、新しい茎や新しい苗ができるからです。
花のつくりもユニークです。一つの株に、雄花と雌花とが着きます。ピンクの4枚の花弁のように見える部分は、大きな2片の萼と小さな2片の花弁なのです。
もうしばらくの間、優しい花と強かな繁殖力とを、この目で観たいと思います。
それから、ベゴニア属の特徴、非対称ハート型の葉も観賞価値があります。
雌花・螬果(種子) 葉腋に着いた無性芽(ムカゴ)