1月5日 愛と笑いの夜、2016年の10本

恋をしている。『汚れた血』のドニ・ラヴァンホン・サンスの映画の登場人物のように、最高に幸福であると同時に最高に絶望的な気分になる。笑いが涙に変わり、涙が笑いに変わる、愛と笑いの夜である。愛と笑いの夜には電柱を殴りたくなる。
正月に引いたおみくじの恋愛の欄に、「嘆きを祈りに変えなさい そうすれば必ず報われる」と書いてあった。映画を見、音楽を聞き、絵を描き、文章を書き、めしを食らい、風呂に入り、走り、眠ること。あらゆる行為、生活のあらゆる詳細に対して感覚が研ぎ澄まされる。それでも絶望的に足りないので、それらはことごとく「祈り」のようなものになるほかない。見尽くすことができない映画をみるとき、見ることは、ただ「祈り」になる。

というわけで、2016年の10本
 トッド・ヘインズ『キャロル』
 アピチャッポン『真昼の不思議な物体』
 白石晃士『貞子VS伽椰子』
 黒沢清ダゲレオタイプの女』
 黒川幸則『VILLAGE ON THE VILLAGE』
 ホン・サンス『あなた自身とあなたのこと』
 リチャード・リンクレーター『エブリバディ・ウォンツ・サム』
 エドワード・ヤン『クーリンチェ少年殺人事件』
 片淵須直『この世界の片隅に
 増村保造『最高殊勲夫人』