容疑者にDVD見せる 広島県警が戒告処分

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200707250318.html

県警によると、巡査部長は昨年一月、広島中央署で三十代の容疑者の男を取り調べ中、格闘技番組を録画したDVDをノートパソコンで再生し見せた。DVDは自宅から持ってきたもので、巡査部長は「容疑者は長期間刑務所に行くだろうと思い見せた」と話しているという。
男が広島地検の調べで事実を話し発覚、県警監察官室が調べていた。

警察では(「面倒見」とか言われますが)、取調官が、被疑者や被告人に対し、留置場から取調室に出してやってコーヒーを飲ませたり、といったことをすることが、よく行われています。すべてが違法ではないものの、好ましいものとは言えず、行きすぎれば問題であり、自白との関わり方によっては任意性や信用性などに影響を与える場合もあり得ます。
私が興味を持つのは、上記の件が「広島地検の調べで事実を話し発覚」ということです。従来であれば、握りつぶしてしまうような出来事ですが、具体的な事件の関係でそうできない理由があったのか、あるいは、裁判員制度実施を控えて、この種の面倒見に対し厳格な態度で臨むつもりなのか(警察を含め)、今後の動向に注視したいという気がします。

OHT株問題、弁護士は海外潜伏か…暴落後に東南アジアへ

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070723icw1.htm

徐々に、背景や真相が解明されつつあるようですね。

「法律相談などが中心で、家賃の高い六本木ヒルズにどうして入居できるのか不思議だった」と明かす事務所関係者もいる。弁護士は、近くのビル数か所に法人名義で部屋を借り、株取引のための「ディーリングルーム」として使用するほど、株投資にのめり込んでいた。家賃なども株の利益から捻出(ねんしゅつ)されていたとみられるが、事務所には投資家の顔は隠していた。

こういったバランスを欠いた構造が、この事件の背景、遠因になった可能性が高いという印象を受けます。弁護士が株式投資をやってはいけない、ということは、もちろん、ありませんが、やるとしてもほどほどに、というところでしょう。いろいろな話を聞きますが、弁護士が株取引に「のめり込んで」良い結果が出た、という話は、不思議なほど聞きません。

ネット検索業界、個人情報保護が新たな土俵に

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djBRR2451.html

検索各社にとっては、結果表示の質の向上のほか、ネット詐欺を防止し、検索語に関連性の高い広告を提供するため、通常、検索履歴の保持が望ましい。だが、米メディア大手タイム・ワーナーNYSE:TWX)傘下のインターネット部門AOLが昨夏、65万人のユーザーの検索データを公開してしまった件を受け、検索データから判明する可能性のある個人情報が注目され、プライバシーに対する懸念が広がった。

昨日、コメントした「グーグル革命の衝撃」でも、この問題が取り上げられていて、興味深く読みましたが、米国で、業界としてこの問題に取り組もうとしている背景には、各社がバラバラの状態で、単に「一生懸命真面目に取り組んでいます」と言っている状態では、法規制がかかり、一旦規制されるようになれば次第に強化されて、業務運営に深刻な打撃が生じかねない、と危惧しているのではないか、と私は推測しています。
上記の書籍で、奥平康弘・東京大学名誉教授が、表現の自由について、

マスメディアは第四の権力ともいわれるが、グーグルという企業は、これまでの権力概念では捉えきれないような存在だ。現代の表現の自由の問題は、こうした権力的な私的機関に反市民的、反社会的な行為があった場合、国家がもう少し大胆に前に出ていくべきかが問われており、グーグルによって表現の自由がうまく機能しているのかを見極めることが重要だ。グーグルによる情報の選別が、何によって支えられているのか、今後の憲法学が切り込むべきテーマだろう
(232ページ、233ページ)

と鋭く指摘されていますが、これは、表現の自由だけでなく、プライバシーの問題にもあてはまるものと思われます。
日本でも、こういった米国の流れに追随する形で、今後、この問題がさらに大きくクローズアップされるようになる可能性が高いと思います。