匿名で作れるアドレスを悪用

http://www.nhk.or.jp/news/t10014747501000.html

裁判官は、匿名で作ることができる無料のメールアドレスを使って、東京の自宅や山梨県内のインターネットカフェから女性の携帯電話にメールを送っていたということです。

裁判官が好意を抱いていた女性に受け入れられないと思い、恨みを募らせて、発信者が誰だかわからないようにして執ようにメールを送ったものとみて調べています。

昨日も触れた衝撃的な(?)ストーカー判事事件ですが、

http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2008/05/mail_0bb3.html#comments

にもある通り、フリーメールだから身元がばれない、というのは間違いで、インターネットカフェから発信していても、日本の警察力、捜査力によれば犯人を特定することは十分可能ですから、これで「発信者が誰だかわからないようにして」いたつもりなら、かなり間抜けな部類に属するストーカー事件ということになるでしょう。
私がストーカーになったら(なりませんが)、こういった幼稚な手法ではなく、本当に誰だかわからないようにして、あるいは、誰だかわかっても証拠では特定できないようにして、徹底的かつ執拗にストーキング行為を繰り返すことはできますが、やりません。

追記:

ストーカー容疑の判事、第三者装い?迷惑メール捜査依頼
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080523-00000001-yom-soci

記事によると、被害者から、判事の行為ではないかと疑われつつも相談を受け、よせばいいのに、

容疑者は「警察にいる知人に話をしてあげる。県警に相談したら」などとアドバイスしたうえ、3月ごろには、大学時代の同級生だった警察庁幹部に電話し、「私の部下が迷惑メールで困っている」と伝えて捜査を促していた。

後に、警察庁から山梨県警へ連絡、という経過をたどったようですが、下手な小細工を弄しなければ、身柄ではなく在宅での捜査も可能であったかもしれません。
自宅からもフリーメールを出していた、ということで、捜査を促すなど一種の自殺行為にしか思えませんが、知らない、無知、というものは、こういうものなのかもしれません。刑事裁判官の経歴が長いようで、妙な自信を持っていたのかもしれませんが、実際は何もわかっていなかった、という可能性はあるでしょう。謙虚に学ぶ、おごらない、ということの重要性も、専門家の端くれとして、感じさせられます。

始まる裁判員制度:鳩山法相、IT法廷を視察 尋問映像など視聴設備も

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080521dde041040051000c.html

市民が裁判員として加わる裁判員裁判では、検察側、弁護側双方が冒頭陳述や証人尋問の内容を分かりやすくすることが求められる。IT法廷は大型ディスプレーや小型モニター、DVDデッキなどを備え、裁判員や検察官、弁護人らが同時に画像を見られるよう工夫されている。検察の取り調べを録画録音したDVDも再生できる。全国の170法廷に設置される予定だ。

テレビのニュースで、鳩山法務大臣ロッキード事件で証人として出廷した際の思い出話をしていて、証言がうまく行かないと扇子であおいでいた田中元首相の手が止まり、うまく行くとうなずきながら扇子であおぐ、などと言っていたのを、おもしろく、また、懐かしく感じました。法相の周囲の人が、その話を聞きながら引きつったような笑顔を浮かべていましたが、ああいう時には、もっと明るく笑ってあげてもいいのでは、と思いました。
それはともかく、IT法廷は結構なのですが、今後は、いろいろな情報を「紙」で用意するのはわずらわしく、負担にもなるので、当事者が作成したデータを、わずらわしさを伴なうことなく、簡単に法廷で顕出できるようなIT法廷にしてほしいと思います。

児童ポルノ「単純所持」、処罰対象を限定 民主が案

http://www.asahi.com/politics/update/0522/TKY200805210324.html

個人で収集する「単純所持」にも罰則を設けるが、対象は「みだりに収集、または有償で取得した場合」に限定。今国会への提出をめざす。

民主党案では、児童ポルノの定義も見直す。「他人が児童の性器などを触る行為または児童が他人の性器などを触る行為に係る児童の姿態」との現行規定を「性器などをことさらに強調するなどして示す」ものに改め、「衣服の全部または一部を着けない児童の姿態」という規定をあいまいだとして削除する。

「みだりではない収集」というのは何か、と考えてみましたが、具体的には想定しにくいものの、意図せず偶発的に入手してしまう、あるいは、一方的に送りつけられる、といったケースが該当するかもしれません。ただ、こういった規定のスタイルにしても、明確な線引きはなかなか難しそうです。
児童ポルノの定義を見直した場合、性器などをことさら強調していなくても、児童ポルノとしての当罰性が存在する、というものもありそうで、処罰範囲の合理的な画定という観点から、本当にこれで良いのか、という議論は大いにありそうです。
いずれにしても、かなり慎重に検討する必要性を感じます。

エレベータの中の音楽

午前中、自宅を出るため、住んでいるマンションのエレベータに乗ったところ、中で流れている音楽が、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」のような感じの荘厳な感じのクラシックで、今日もあれもやりこれもやらなければ、と思っていた時だけに、聞いていてどっと疲れる感じでした。
映画「地獄の黙示録」(だったと思います)では、米軍が「ワルキューレの騎行」を大音響で流しながら攻撃ヘリで編隊飛行し攻撃に向かうシーンが出ますが、ああいう人たちと自分はかなり違う、ということを実感しました。
人によっては、エレベータの中でこういった音楽を聴いて、地獄の黙示録将兵のような気分になるのかもしれません。