ガン抑制遺伝子「p53」体重53kgのあいつ
讀売新聞より
<細胞死、仕組み解明…東京医科歯科大>
がん治療に応用も
DNAが傷ついた細胞が自ら死んでいく詳しい仕組みを、
東京医科歯科大の吉田清嗣助教授らが解明した。
“細胞死”は、がんを防御する重要な体内メカニズムで、
この仕組みを上手に活用できれば、がんの新たな治療法に
つながる可能性がある。9日付の米科学誌に発表する。
細胞が自らの遺伝子を働かせて死んでしまう現象は、異常が
起きた細胞を体から排除したり、生物の発生過程で形態を
変化させるためにも欠かせない。
DNAが傷ついた場合は、がん抑制遺伝子p53が損傷の
程度を判断、傷が小さい場合は修復、大きい場合は細胞死を
誘導する。
細胞死をp53に働きかけるスイッチの正体は不明だった。
吉田助教授らは、p53にリン酸を結合させる働きがある
酵素の一つに着目。
この酵素を人工的に欠損させると、細胞死が起きないことが
わかった。
また、この酵素はDNAが傷つくと働き出すことも確認
され、細胞死を誘導するスイッチと判明した。
[出典]讀売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070309ik01.htm
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<p53・・・体重53kgのあいつ>
1980年代、最先端のガン研究者たちは競い合って、ガン
遺伝子の発見につとめました。
その結果、次々にガン遺伝子が見つかりましたが、疾病との
因果関係がどうもすっきりしないという状況が続きました。
この研究の最中に多くの種類のガンで共通に出てくる遺伝子
「p53」が発見されました。
ところが、この「p53」は当初まったく注目されなかった
ので、まともな名前がつけられずに、53キロダルトンの
タンパク質を作る遺伝子、すなわち「体重53kgのあいつ」と
呼ばれるようになりました。
ガン遺伝子として徐々に研究されるようになった「p53」
ですが、最初研究されていたのはp53自体ではなくて、
p53が損傷を受けた後の姿だったのです。
ガン発生遺伝子と考えられていた「p53」は、実はガン抑制
遺伝子だったわけです。
この結果、「p53」は一躍注目の的となったのです。
[出典・引用]ゲノム医学入門(やや専門的)
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