回帰祭

避難の船ダナルー 空から降ってきた少年

パートナーを見つけられなかった男子は復興に向かう地球に回帰し、残されたカップルは次世代を育む男女比9対1の避難船で、地球に憧れる少女ヒマリに一目惚れしたアツは、矯正教育を受けた秀才ライカに橋渡しを――喋るウナギの養殖長篇SF。
安全な移民船から危険な地球へ新天地を求めて移動するDQNを描くのが『メガゾーン23*2とすれば、本作は、年相応に賢くて年相応に愚かな少年少女が進むか残るかの選択を迫られる話。地球も避難船もどちらも天国じゃないことが冒頭から透けて見えるのが、前世紀との違いでしょうか。
男女比9対1の世界で、少年同士の恋愛は生じるのか、それに対する手当がどうなっているのか、その設定が『セクサロイド』(松本零士) *3とはちょっと違った意味で気恥ずかしい。
男の子を選択する権利を握るヒマリを主人公と見るなら、アツは明るい正ヒロイン、ライカはちょっと変わった副ヒロイン、と、ギャルゲーを転置したような人物配置。捻りがちょっと効きすぎのような気もしますが、こういうエンドも好き。
陽性に爆発するハルヒよりも暴走した自分を冷静に見つめる長門が好きな方にお薦め。

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