当ブログは YAMDAS Project の更新履歴ページです。2019年よりはてなブログに移転しました。

Twitter はてなアンテナに追加 Feedlyに登録 RSS

The Band "Music from Big Pink"

CDジャケット

忘れた頃にAmazon980円劇場。

時の流れを越えた名盤、といった表現を時折見かけるが、真にその形容に足る作品は少ない。実際には、そうした言葉を書く人間が、自身の感性の老化を認めたくない場合もあるのではないか。

The Band の記念すべきファーストアルバム、これも「時の流れを越えた名盤」に入るだろう。しかし、本作をそのような言葉で神棚に奉って終わりにすべきではない。

本作をはじめとする The Band のアルバムは、とっくに「ロックの古典」扱いされており、実際、現在ではそれに違和感はない。しかし The Band の作る音は、本作がリリースされた1968年当時から異質さを持っていたのではないか。前年はサマー・オブ・ラブなどといわれ、翌年の69年には彼らが居を構えていたウッドストックで歴史に残るロックフェスティバルが開かれる。その浮かれた時代にこのハナからクラシックの風格さえ持った音、その深さはボブ・ディランとの交流といった背景だけから導き出せるものではない。クリーム解散後のクラプトンが、真っ先にウッドストックに飛び、彼らに会いに行ったというのも、ルーツミュージック志向と同時にある種の異質さを感じ取ったからではないか。

それそのものは新しさを感じないのに、どこか常にレイテストな音とつながる回路を持った音というのがある。ワタシの場合、それを最も感じるのはライ・クーダーザ・バンドだったりする。これを読んで笑われる人もいるだろうが、実際感じるのだから仕方がない。

ライ・クーダーは、まだそのギターの鋭角さを挙げることで説明しやすい。しかし、ザ・バンドのほうは、自分でもうまく説明できない。実際、ぱっと聴いただけでは古臭くさえある音である。だが、彼らの音には忘れた頃に何度も驚かされてきた。

そうした彼らのアルバムでは、本作とセカンドアルバムが最高傑作とされるが、全曲ロビー・ロバートソンの手によるセカンドよりもまだメンバー間の力関係が定まってなかった本作のほうがワタシは好きだ。

何より一曲目がリチャード・マニュエル(1986年に自殺)とディランの共作 "Tears of Rage(怒りの涙)" というのが卑怯すぎる。そしてこれは確かピーター・バラカンも書いていたと思うが、本作のハイライトである名曲 "The Weight"、ワタシは何度聴いてもこの曲の歌詞の意味が分からない。彼らの作品には、未だ何かしら謎が残っているのだ。

レベッカ・ブラッドの来日講演

bmblogRuPu RuPu Blog によると、Rebecca BloodDESIGN IT! においてウェブログやジャーナリズムに加え Wiki についても語ったとのこと。ううっ、聞きたかった。

2月のはじめにソシオメディアの方からメールをいただいたが、それに返信した後ぱったり連絡が途絶えるとは思ってなかった。もっとも声をかけてもらえただけ御の字なのだけど。

ウェブログとジャーナリズムの関係について彼女が書いた文章を翻訳した「参加型メディア時代におけるウェブログとジャーナリズム」があるので参考まで。

Jesse James GarrettRebecca Blood が夫婦であることは意外に知られていないようだ。

Jesse James Garrett というと、Adaptive Path に今盛り上がっている Ajax について書いた文章がちょうど「Ajax: Web アプリケーション開発の新しいアプローチ」として翻訳されてもいる。彼の著書の翻訳『ウェブ戦略としての「ユーザーエクスぺリエンス」―5つの段階で考えるユーザー中心デザイン』は絶好のタイミングで刊行されたのではないか。

アメリカのブログ本状況

Rebecca Blood の『ウェブログ・ハンドブック』の「日本語版の序文」に、「ウェブログが本になる時期なんだね」と夫婦で笑いあう話が書かれているが、その原書刊行から三年経った現在もブログに関する本の刊行は続いている。

ウェブログ・ハンドブック』に近いベクトルの広範囲な概説本としては、現在 GoogleBlogger 部門に属する Biz Stone『Who Let The Blogs Out?: A Hyperconnected Peek At The World Of Weblogs』がある。

一方で昨年のブログの様々な分野に影響を与えた盛り上がりについては、『The Year of the Blog: Blogs, Politics, and the 2004 Election』『Blog: Understanding The Information/Reformation That's Changing Your World』が詳しいようだ。後者の著者の Hugh Hewitt保守系のブロガーとして著名。

一方ブログそのものを書籍化したものも、『サラーム・パックス―バグダッドからの日記』に続く(と書くと語弊があるだろうが)『Baghdad Burning: Girl Blog From Iraq』が間もなく発売予定。このブログについては既に日本語版があるので、企画さえ通れば邦訳も間をおかず出るのではないか。

もっと技術寄りの本で言うと、昨年 Sun Microsystemsblogs.sun.com を始めるにあたり招聘した Dave Johnson による『Blogs, Wikis, and Feeds In Action』という本が今春発売になる模様。タイトルからするとブログに留まらない内容のようで楽しみである。

朝日新聞書評委員を務めるといくらもらえるのか

と書くと思いっきり下世話だが、何のことはない、山形浩生あっさり記している

書評委員やってることで、原稿料(800 字だと 6 万円)に加えてお車代だの委員会謝礼だのが出て、年間 240 万円くらいもらえてるんだ。

もっとも個人的には、

一方で、今年夏にかけて訳書がいっぱい出るので、書評してもらえる可能性が出るのはありがたい。

という方により興味あるわけだが、でも書評してもらっても評者が天外伺郎だったりしたらどうよ(ありえないか)。

はてな原稿料出しふたたび

以前「はてな原稿料出し」という文章を書いたことがあるのだが、再び原稿料の話題を取り上げるのは、先ごろブログを特集した人文系雑誌の原稿料について執筆者のお一人に聞く機会があったからだ。

要はその原稿料が安かったということなのだが、いずれは朝日新聞が連載小説をブロガーに依頼するような時代になりますからそれで元が取れますよ、と適当なことを言って笑いあったものである。しかし、突っ込みどころ満載のエロ小説が堂々と朝刊に載るご時世、連載小説として朝日新聞に『電車男』、読売新聞に『実録鬼嫁日記』、日本経済新聞に――となってもおかしくない……わけは全然ないか(笑)。第一、小説じゃないし。

竹熊健太郎原稿料の話を書いているが、技術系の雑誌などでも事情は似たようなものらしい。個人的な経験で言うと、ソフトバンクパブリッシングは雑誌、書籍ともその辺についてすっきりとまっとうな応対をする印象がある。ただ、ワタシの場合仕事の絶対数が少ないので参考にはならない。

New Orderの新譜『Waiting For The Sirens' Call』

スミス、キュア、そしてニューオーダーは、ワタシのロック遍歴を語る上で欠かせないニューウェーブ三大バンドである。昨年はモリッシーとキュアの復活作がリリースされ聞き込ませてもらったが、今年はついに真打ニューオーダーの新譜が出る。

しかもその新作には日本語詞を歌う曲があるという激しく不安を誘う情報もあり、とにかく待ち遠しい。

大分前にも書いたことがあるが、彼らの全盛期のビデオは名作揃いである。が、クリップ集『(The Best of) New Order』は未だ DVD 化されてないようで、これは大変残念なことである。

[YAMDAS Projectトップページ]


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
YAMDAS現更新履歴のテキストは、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

Copyright (c) 2003-2023 yomoyomo (E-mail: ymgrtq at yamdas dot org)