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サイエンス、かくかくしかじか

2018-11-30

日本中部地方の鍾乳石のd18O

| 11:07

2週間前、Arizona 大学の Jay Quadeさんがブラウン大学セミナーで話したときに、この論文の話題になった。

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Temperature and seawater isotopic controls on two stalagmite records since 83 ka from maritime Japan

Mori et al. Quaternary Science Reviews 192 (2018)

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日本、中部地方岐阜三重)の2つの鍾乳洞からのd18Oの話。

鍾乳洞付近の降水とd18Oの相関はない。

したがって、温度と海からの距離でd18Oが解釈される。

結果は、Heinrich はきれいに出るが、DOはそれほど目立たない。

また、振幅も、中国に比べると小さい。

気温変化だとすると、Heinrichは3度の変化になる。

2018-11-29

中国鍾乳石の解釈、モデルから

| 09:29

引き続き、鍾乳石のd18Oの解釈を再考する論文

2014年発行でHai Chengも共著者だ。Yongjin Wang も入っているところからも、中国鍾乳石グループの解釈としては、その場の降水ではなくこの結論のmonsoon windあるいは北部の降水、(降水のd18O)ということだろう。

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Chinese cave records and the East Asia Summer Monsoon

Zhengyu Liu et al. Quaternary Science Reviews 83 (2014) 115-128

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最終氷期から完新世にかけての鍾乳石の解釈を目的としてisotope-enabled atmospheric component model of the CCSM3 CAM3を使って実験。

LGMから現在までのシミュレーション結果がでている。H1, BA, YDの傾向はモデルで得られたd18Oの値と実際とが同じだが、振幅が違うことを解決できていない。また、変動のタイミングもずいぶん違う。

ここでも降水の、北部と南部の違いについて議論されていて、H1は北部が乾燥、南部はあまり変化なし、という解釈がなされている。

また後ほどとりあげるが、同じ東アジアモンスーン地域でも中国の鍾乳石がやたらと振幅が大きい。日本の鍾乳石はそうではない。海岸からどれだけ近いかということが重要だということのようだ。日本と中国ではそもそも水蒸気源が違う。

2018-11-28

Deglaciaitonの中国鍾乳石の解釈

| 13:16

1ヶ月前のScienceから

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Zhang et al., Science 362, 580–583 (2018)

East Asian hydroclimate modulated by the position of the westerlies during Termination I

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ハインリッヒ1(H1)とヤンガードリアス(YD)での中国鍾乳石のd18Oを解釈するために、trace elementを分析。

Cave siteは、Upper Yangtze なので、現在の降水のサンドイッチ構造の真ん中、長江集水域に入っている。

驚きなのは、trace elementからは、H1とYDにどちらかというと湿潤になっているということ。それを、鍾乳石d18Oとどう折り合いをつけるか。

簡単に言ってしまえば、鍾乳石d18Oは北部、TEはその場の降水(長江集水域を含めた南部)を表していて、モデルとも整合的だからいいですよね、ということ。

ただし、いくつか問題はあると思う。

1. trace elementと湿潤乾燥の関係が、この論文のように単純なのか。例えば、温度の効果などはどのように解釈に加えるのか?

2. シミュレーションで、7−8月の降水アノマリを出しているが、長江集水域〜 日本にかけては、現在では6月から梅雨が始まるので、7-8月だけを抜き出した図がふさわしいかどうか。Fig3では、5-6月は減っているが、7-8月は増えている。差し引きすると、梅雨全体の降雨アノマリはほとんどなくなるのではないか?

3. この論文のポイントは、中国内、あるいは東アジアモンスーン地域内での地域内パターンの不均一性と、南部は北部よりも降水変動が少ないのでは?という2点に尽きると思う。d18Oの解釈が、その場の降雨量ではなく、降水のd18O>さらに北部がそれに敏感、というのは、時間スケールによってはそうとも言えると思う。それ以外はさらなる検証が必要だと思う。d18Oが北部の降水を表すにしても、23kyのみの卓越は、レスの記録とは整合的ではない。

有孔虫データベース

| 12:55

海外のサイトでよく使うのは、

Foraminifera data base

http://www.foraminifera.eu/querydb.php

ユーザーガイドもあった。

http://www.foraminifera.eu/files/ForaminiferaEuDatabaseUserGuide.pdf

2018-11-27

底生有孔虫図鑑

| 11:26

後輩から、有孔虫の図鑑は何がおすすめですかと聞かれた。

それほど図鑑は多くないが、底生有孔虫(大型以外)で写真が多くて網羅的なものという意味でおすすめは、以下の2つ。

どちらの著者も、この分野の第一人者である。他にも図鑑をいろいろ集めいているが、実際に参考にするのはこの2つ。ただし、よく使うCibicides, Cibicidoidesの属の分け方が違うので注意。Uvigerinaもちょっと違うかな。

1. Atlas of Benthic Foraminifera

Author(s): Ann Holbourn Andrew S. Henderson Norman MacLeod

First published:2 May 2013

Print ISBN:9781118389805 |Online ISBN:9781118452493 |DOI:10.1002/9781118452493

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/book/10.1002/9781118452493

2. Recent New Zealand deep-water benthic foraminifera : taxonomy, ecologic distribution, biogeography, and use in paleoenvironmental assessment.

Hayward, B.W.; Grenfell, H.R.; Sabaa, A.T.; Neil, H.L.; Buzas, M.A. 2010 Lower Hutt: GNS Science. GNS Science monograph 26; New Zealand Geological Survey paleontological bulletin 77 363 p.

http://shop.gns.cri.nz/mon26/

有孔虫スライド

| 11:15

有孔虫スライドを作っていた日本の会社がなくなってしまった。

海外ではどこの会社のスライドがいいのか、一昨年度の山形大での微化石研究集会MRC NOMでスライドを集めた。

こっちにきてから、アメリカのスライドの会社を教えてもらった。

http://www.lakeside-products.com/

特に、分厚めのスライドはあまり見ないので買っておこうと思う。

普通のスライドだと高さが足りない大型の有孔虫や、fish teethなどにいいと思う、ということだった。

AnalySeries > QAnalySeries

| 10:58

AnalySeries は周期解析や日射量をダウンロードできたりするとても便利なツール

なんといってもシンプルで重くなくて、使い方が簡単。waveletをやるのでなければ、これで事足りる。

しかし、Mac OS (32-bit)でしか動かない。最新のOS Mojavaまでは大丈夫だが、この先のOSでは32 bitがサポートされないことをApple宣言している。

ドイツのMARUM のグループが64 bit でも動くようにAnalySeriesと同じファンクションを維持したままでQAnalySeriesというツールを新しく開発したらしい(今年のAGUのアブスト)。

どうせなら、LR04やいくつかのsealevelカーブも組み込んでくれたらより便利でいいなと思った。

AGU abstract for a new AnalySeries.

https://agu.confex.com/agu/fm18/meetingapp.cgi/Paper/349843

地図ツール

| 10:48

地図ツールを教えてもらった。Macで動くアプリ

http://www.geomapapp.org/MacInstall.html

GMTもたまにしか地図作成を行わないので、ちょっと使いたいというときに思い出すのに苦労する。MATLABでの作り方を覚えようか、どうしようか。。。

geomapもまだ慣れていない。

簡単な地図だけさっと描けるツールがあったらかなり重宝されると思う。

周期解析

| 10:42

NASAのサイト

https://exoplanetarchive.ipac.caltech.edu/docs/tools.html

このサイトで、等間隔でない時系列データのPeriodgramができる。

https://exoplanetarchive.ipac.caltech.edu/cgi-bin/Pgram/nph-pgram

つまり、古気候海洋の時系列データ(多くは等間隔ではない)をそのまま入れてPeriodgramできる。

Algorithm で、Lomb-Scargleを選択

いくつか試したが、originalのage modelと、等間隔にresample したものでは周期解析結果が若干異なる。もちろん、主要な周期はキープされているが。

Wavelet, Wavelet Coherence

| 10:36

MATLABでWavelet解析ツールはいくつかあるようだが、私はこれを使っている。

以下のウェブから、ツールボックスダウンロードできる。

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Aslak Grinsted, John Moore and Svetlana Jevrejeva

Cross wavelet and wavelet coherence toolbox for MATLAB

[Website of the toolbox](http://grinsted.github.io/wavelet-coherence/)

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Reference:

Grinsted, A., J. C. Moore, S. Jevrejeva (2004), Application of the cross wavelet transform and wavelet coherence to geophysical time series, Nonlin. Process. Geophys., 11, 561566 [link](http://www.glaciology.net/Home/PDFs/Announcements/Application-of-the-cross-wavelet-transform-and-wavelet-coherence-to-geophysical-time-series-)

PSU Solver

| 10:31

PSU Solverは、有孔虫のMg/Caとd18Oから塩分を考慮した式を使って、水温、塩分、d18Owの最適解を求めるコード。

MATLABで動く。

塩分の影響がそれほど大きくないところだと、慣習的な水温のみのMg/Ca換算式で十分かもしれないが、塩分の変化幅が大きな河口付近等では威力を発揮する。

sealevel correctionも同時に行えるので、それだけでも便利だと思う。

いちいち自分で時系列をresampleしてsealevelカーブで補正するのも一手間であるので。

V2からは、塩分を入れていない式でも動くようになっている。Mg/Caがないときは、TEX86, Uk'37でも大丈夫なのではないかと思う。

webでコードが探せないときは、作成者本人にメールすれば送ってもらえる。

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PSU Solver:

This code uses foraminiferal Mg/Ca and d18O and uses a bootstrap Monte Carlo procedure to solve for seawater d18O & temperature and also provides estimates of propagated uncertainty. For more information read reference below.

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CITATION: Thirumalai, K., Quinn, T. M. & Marino, G. (2016),

Constraining past seawater \delta^{18}O and temperature records

developed from foraminiferal geochemistry_, Paleoceanography, 31, doi: <https://goo.gl/p8X5Tk 10.1002/2016PA002970>

netCDFの編集

| 10:11

netCDFの編集ソフト。なかなか便利でした。

http://nco.sourceforge.net/

上記サイトからの抜粋

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What is NCO?

The netCDF Operators (NCO) comprise about a dozen standalone, command-line programs that take netCDF, HDF, and/or DAP files as input, then operate (e.g., derive new fields, compute statistics, print, hyperslab, manipulate metadata, regrid) and output the results to screen or files in text, binary, or netCDF formats. NCO aids analysis of gridded and unstructured scientific data. The shell-command style of NCO allows users to manipulate and analyze files interactively, or with expressive scripts that avoid some overhead of higher-level programming environments.

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気候データをダウンロードしたあと、自分がほしい領域、年代、季節等を抽出するときのツール

最初はMATLABでどうにかnetCDFの編集を試みたが、なかなかうまくいかなかった。

ターミナルで動かすが、いくつかのコマンドで簡単に編集できてとても便利。

以下、コマンド一覧。

http://nco.sourceforge.net/nco_rfr_crd.pdf

数年後にはリンクがいきていないかもしれないけど、役立ちそうなリンク

http://research.jisao.washington.edu/data/nco/

2012-10-25

Ocean Data View

| 22:45

海洋データの図作成ソフトとして、素人にも比較的使いやすいのがOcean Data View.

最近、新しいバージョンを再インストールしてやっとちゃんと動かせるようになりました。ウェブダウンロードできるデータも、ODVで読み込める形式になっているものも多く、なかなか使えるソフトです。

なんといっても、使いかたがとても簡単。

図がきれいなので、論文に載せるものとしても使えます。

水温、塩分、溶存酸素濃度などの基礎データで、我々の分野で比較的よく使われるのは、World Ocean Atlasのデータセットで、空間解像度も悪くないです。2009年のバージョンが一番新しいようです。

ODVのソフトはここでダウンロードできます。

http://odv.awi.de/

データソースもwebに載っているので、探すのもらくちん。