「経済成長」ってよくわからない

実は、ものすごく興味のあるネタなので、ちょっと追っかけてみました。


始まりは、飯田泰之さんの以下のお話から。
まずは三択だって言うことに気づかねばならない - こら!たまには研究しろ!!

すると格差と雇用の問題への対応には3つの選択肢しかないことがわかる.
(1)だれからも奪わないしだれも救わない
(2)だれかから奪ってだれかを救う
そして,
(3)経済成長 
この3つ.
僕が常々残念だと思っているのは,低所得者層の生活保障の必要性を感じている論者の多くが(3)の選択肢に冷淡なところです.

そして、田中秀臣先生も。
過去に僕もその三択問題でプッツンしたことありました - Economics Lovers Live

この貧困・格差論の人たちの(3)への軽視ないし無視は、一昨年に、東京河上会で、岩田正美氏や橋本健二氏らとのフォーラムをやったときに、彼女・彼らの発言から骨身に染みて感じたこと。

要は、経済成長が大事だろう!と。


そこにdankogaiさんが疑問を投げかけた。
パイを大きくしたら自分のスライスが減ったでござるの巻

この間、経済が縮小しているというのであれば、まだ救いがある。が、少なくとも数値上は経済は成長している。

なのにパイチャートのとおり、現役世代の資産が全体の資産に占める割合は減っちゃっているのだ。

やっぱり分配の問題のほうが優先度は高いのではないか?と。


そして話は、こんな方向に。
経済成長ってなんなのよ? - こら!たまには研究しろ!!

潜在水準を決める労働者の質やその他技術進歩って……結構ほっといても伸びちゃうんです.この比率がどのくらいかについては,シノドスでの岡田靖氏の講演によると2%くらいといわれる.これはデータをぐちゃぐちゃいじってきた僕の直感とも大体同じ

・潜在成長率の伸びにあわせた実際の経済成長
がないとどうしてもどこかにツケをまわさざる得なくなる.


そして、dankogaiさんがさらに疑問を投げかける。
GDPを一日で倍にする方法(の耐えられない軽さ)



さて、僕は「経済成長」と「分配」のどちらが優先順位が高いかということよりも、経済成長そもそも論のほうが気になります。
まずは、飯田さんによれば、潜在水準で年2%くらい成長しているとのこと。そしてdankogaiさんが、年2%というのは、100年で7.24倍、1000年で4億倍だなんてことを指摘しているんだけど、僕も同じようなことは感じていて、年2%は35年で2倍になるよなぁと。確かに過去を振り返れば、ここ35年で2.5倍以上にはなっているはず。でも今後もそんなに伸びるのか?とは思いますね。ただ、今後5〜10年くらいのスパンで見れば、年2%という数字は別に驚く数字でもないのでしょうけど。


さてさて、飯田さんの年2%は潜在成長率ということなんだけど、これってあくまで供給の側の話ですよね。だから、供給力?の成長に対して需要が同じように成長しないとだめなんだという話のように読めます。需要の成長が供給の成長についていけてないということ、つまりは有効需要の不足であるということを説明しているんだと思うんです。


そこで、僕が気になることは、
じゃあ需要は年2%も成長できるのか?
ということです。
それも、外需に頼ってではなく、国内需要で年2%の成長。


なぜ、左っ側の人たちが、経済成長より分配の問題を優先するかといえば、この間の成長がずっと外需頼りであって、しかもその成長があまり内需を増やさなかったことが大きな理由だと思うんです。もっと成長の恩恵が国民の所得なり消費なり国内投資に流れてくれれば、「経済成長」というものにも期待が持てたんだと思います。


だから、国内の需要で年2%の成長を今後安定して続けられるものなのか?ということが僕にとっては大いなる疑問だし、最も気になるところです。