ロンブ・カトー『わたしの外国語学習法』(ちくま学芸文庫、2000)


国語学習の名著をまた一冊読みました。
作家/エッセイストで元ロシア語の通訳だった米原万里さんが
生涯たった一冊だけ訳したのがこの本。
ロンブ・カトー『わたしの外国語学習法』(単行本1981/文庫 2000)。


わたしの外国語学習法 (ちくま学芸文庫)

わたしの外国語学習法 (ちくま学芸文庫)


米原さんの「訳者あとがき」から。


   ハンガリー人は東欧にありながら、
   言語的にはウラル語族に属する、
   つまり周囲のヨーロッパ言語とは
   親類関係にない民族です。


   そういう意味で、
   (引用者注:著者は)日本人が
   最初のヨーロッパ系言語を学習する際に味わう困難を
   共有しているはずです。
   (略)


   自他共に外国語音痴を認めていたので、
   大学も人文系はあきらめて理科系に行ったほどだと告白しています。


   そういう平凡な女性が、
   学窓を巣立ってからの25年間に16ヵ国語
   (引用者注:中国語、日本語を含む)
   を身につけていく過程と秘訣を
   包み隠さず公開してくれるこの本は、
   外国語学習にあたって挫折しがちなわたしたちを、
   必ず目的外国語は身につけられるという楽天主義
   感染させてくれます。


まぁ、日本きってのロシア語通訳と言われた米原さんなので
「外国語学習にあたって挫折しがちなわたしたち」
の言葉は割引して聞いておきます。
学ぶところ、ヒントにできるところの多い
国語学習の本にまた一冊出会いました。


(翻訳料5万円だけもらって、以後の増刷分印税は創樹社にごまかされた
と文庫版訳者あとがきで米原さんが暴露)