ケイさんから以前に来ていたメール。フクラスズメの命名について。

 カメラは全然触っていない。虫目は落ちていないらしく,時々は蛾を見つけていた。さすがに今は雪が積もってしまっているし,毎日風が強い。
 来年の4月まで外回りはしないと思う。


 というわけで春までテキトーなネタでつなぐ。


 11月13日にメールを貰っていた。「ケイの言ってみようか!」の神奈川のケイさんから。心の調子は相変わらず良くなさそうなのだが,競馬やら読書やら産経に投稿やら,色々頑張っている模様。
 こちらは仕事も滞っている状態。ブログどころではないという抑圧がかかって,ほとんどの時間を寝て過ごしてしまった。


 添付画像。
フクラスズメ Arcte coerula
 よさそうなフクラスズメ。成虫越冬する蛾で,冬の目撃例が多いようだ。
 学名は Arcte coerula(あるくてー こえるら)。属名はギリシア語“arctê”「熊の皮」から。種小名は「暗い色の」。


 実は和名の由来がよく分からない。
 いわゆる「膨ら雀」で,冬場に見つかる大きめの茶色の蛾の姿からの連想なのだろうと単純に考えていた。そのように書いたサイトも散見する。
 ところが最近入手した昭和26年の北隆館『日本昆虫図鑑改訂版』を念のために見てみると,索引に漢字記載があって,フクラスズメは「張天蛾」である。あれ困ったな,という次第。
 「天蛾」はスズメガのことだから,「フクラスズメ」のスズメは「雀」でなく,実は「スズメガ」なのかもしれない
 疑い出すと学名も怪しげ。この蛾の旧属名“Cocytodes(こーきゅーとーでーす)”は(『昆虫大図鑑』でもこの学名が用いられている),フランスのGuenéeが1852年に命名したもので「Cocyt…に似たもの」の意。鱗翅から探せばおそらく該当するのは“Cocytius(こーきゅーてぃうす)”属か“Cocytia(こーきゅーてぃあ)”属。


 後者は現在,Brithys属になっていてこれは「ハマオモトヨトウ」。幼虫の頭と尻とが赤いところが似ている(フクラスズメ幼虫ハマオモトヨトウ幼虫とを比較されたい)。
 ところがGuenéeはハマオモトヨトウ属について異なる属名(Glottula)を付けていたりする。どうやらコーキューティアの線は外してよさそうである。


 さて残るコーキューティウスだが,こちらはスズメガである。日本には分布していない。
 コーキューティウスのタイプ種であるCocytius antaeus(オオスズメガ)の標本写真フクラスズメの標本写真を見比べて……,よく分からない。インドから送られた(ゲネーはインド産のフクラスズメを記載している)劣化した標本なら,翅形はさておいて色合いや模様は似た感じになるかもしれない。


 結局,和名フクラスズメの命名の経緯がはっきりしないのだから,何を考察しても憶測の域を出ない
 個人的には,「雀」と「スズメガ」との両方をかけたものなら,なかなか洒落た命名だと思ったりする。


 コーキューティウスの由来となった「Cocytus」(ギリシア語ではkôkytos)についても昨日から延々と時間を費やしてしまった。スイダスまで調べる有様で,それはそれで結構面白いのだが,後日機会があればということで。


 次回はゲームの中の蛾のネタ。いよいよ蛾はわたしにとって,観念としての存在となっていく。

人生は病気。

 もう1回の綱渡りを乗り切れば,あとは正月休みまでソフトランディング。


 今シーズンも後半病気だらけで虫は全然ダメになった。
 いっそフェータルなものならとも思う。残り時間を逆算して,できることとできないことを整理すればいい。話が単純でいい。そうでないからやっかい。


 今シーズンの病歴。

  • 6月から一カ月ほど風邪でぐずぐずする。これがケチの付きはじめ。マイコプラズマ系だったらしく,病院を変えると,抗生物質が変更されてすぐに治る。
  • トランキライザーは飲みっぱなし。5月にいったんは切った抗うつ剤は10月再開。自殺念慮がないのでうつではない。会議室にかかわる擬似的なPTSDのように思っている。
  • 血糖値が神経の不調と並行してまた上がり始める。腎臓もカウントダウンを始めそうな気配。
  • 尿管結石は2セット。血尿にはもう慣れた。
  • 夏から左の五十肩。整骨院での残酷な治療をおもしろがって,回復をかえって遅らせてしまったようだ。整形外科の痛み止め注射でかなり楽になる。現在も夜には痛む。
  • どんどん頭が悪くなっている。長生きしても早晩痴呆になるだけだと思う。