zames_makiのブログ

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遙かなる青い海(1971)海洋版世界残酷物語

=海洋版世界残酷物語、綺麗な自然映像と付け足しの物語、人間による自然破壊に肯定的、最後に核実験映像でるのはただの愛嬌であり、とても反核とは言えない

原題:OCEANO (91分・35mm・カラー)
海中撮影のドキュメンタリー『青い大陸』(1954)や劇映画『チコと鮫』(1962)などで知られる、フォルコ・クイリチ監督による海洋映画。ポリネシアの小島に住む青年が、パンノキを育てるための土を求めて、カヌーで島々を移動しながら人々と交流する姿を描く。物語終盤には、水爆実験への強烈な批判が展開される。
'71(イタリア)(監)(脚)フォルコ・クイリチ(脚)ジョルジョ・アルロリオ、ベルト・ペロッソ(撮)ジョヴァンニ・スカルペリーニ、リカルド・グラセッティ、ヴィットリオ・ドラゴネッティ(音)エンニオ・モリコーネ(出)W・M・レノ、ユベール・プチニー、K・イムリエ、E・テパマ、ルイ・ステッソ
公開:
Italy 16 November 1971
Japan 17 June 1972
Hungary 13 February 1975

感想

NFCの紹介文を頼りに反核メッセージを確認に見たが完全な期待はずれだった。詳細未確認だが海洋版「世界残酷物語」というべきもの。ポリネシアの海土人がアラスカ、太平洋の海、メラネシア土人村、活火山、などを巡り歩くというもので、まともな物語はなく、延々とナレーション入るがまともな説明や論理や筋立てはなく、詩の朗読のようだ。
 主眼の自然の映像は大変綺麗で珍しいものに思える。主人公(レノ)が海で魚やウツボやサメを捕るシーンはうまくとれている。しかしサメを捕るために、しかも復讐のために、10匹以上もウツボを捕り、口から出る毒を絞るシーンは今のエコロジー観念のしみついた観客には異様に見える。同様に、主人公はメラネシア土人村で生け贄にされそうになるという物語だが、まさに演出である。また白塗りの豚が土人にたたかれて死ぬシーンは危機を感じた豚の悲鳴が鋭くきつい、最後本当に叩き殺したように思える。
 こうした差別的映像を見た事がない筆者には貴重な体験であった。一方活火山の映像や、主人公が火山の崖や、水深15cmほどの珊瑚礁を歩く(まるで水上をあるいているように見える)シーンは素晴しい。
 主人公の故郷の土人村で娘さん達と海中で戯れるシーンなど、しっかり娘の裸が映像に捉えられている(ヌードらしく見える)のは凄い。主人公が太平洋の孤島で会う、イタリア人の漂流者は、文明の喧噪を離れ自分の時間を楽しんでおり、食べ物は漂流してくるのでなんの心配もないと語るあたり、想像を絶するくらい時代の差を感じる。イタリア男は漂流してきた難破船から品物をいただき、目印に燃やすが、積み上がった切断船首は明らかに積み上げられたものだろう。すごいやらせ、でっち上げ物語である。
 詩のようないい加減な物語、素晴しい自然の映像、叩き殺される動物、未開人の奇妙で野蛮な風俗、土人娘の裸、白人にとってユートピアとしての未開の地、などが残酷物語の要素だろうか。

上映 NFC

1/30(木) 7:00pm 2/11(火) 1:00pm