日本を「戦争をする国」にはさせるな!戦争立法の法案化・国会提出に反対する!

 昨年7月、政府は集団的自衛権の行使容認の閣議決定を強行しました。私たちは、「憲法9条を根本から破壊し、日本を『戦争する国』に変える」ことだとして反対しました。「明白な危険」という政府の判断で集団的自衛権が認められれば、戦争放棄どころかいつでも「同盟国」といっしょに戦争する国になってしまうからです。


 ところが政府与党は聞く耳を持たないどころか、「国の存立を全うし国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備関連法律案」を着々と準備してきました。3月20日にはより進めて「安全保障法制整備の具体的な方向性について」という文書で自公が合意しました。
 その内容は、「自衛隊の海外における活動の参加」のため、
(1)「いつでも」(切れ目のない)「他国軍隊に対する支援活動」ができるよう、イラク特措法など時限立法でない海外派兵恒久法(新法)をつくる。
(2)「我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態」に対応するため、「周辺事態安全確保法」などを改定し、「周辺」でなく世界のどこでも行くようにする。
(3)「戦闘地域に行かない」という従来の歯止めをなくし、自衛隊法などを変え、捜索・救助の名で「戦闘現場」にさえ行かせる。
(4)その上で、「業務の拡大及び業務の実施に必要な武器使用権限の見直し」をする。
(5)さらに、自衛の措置として「新たに武力の行使が可能となる新事態」などを想定し、事態対処法なども改定する。
(6)「米軍や米軍以外の他国軍隊の武器等」について自衛隊の部隊による防護も可能とする。というものです。


 現在これに基づいて戦争立法の法案化が進められ、5月半ばには国会に提出されようとしています。
 とんでもないことです。直ちに中止すべきです。


 私たち教職員が先ず頭に浮かべるのは、教え子の子どもたちや青年たちが、「殺し、殺される」戦場に行かされるかもしれないという不安と怒りです。そんなことのために教えているのではありません。
 子どもたちは、戦場に行くために育ち、育てられたのでもありません。あどけない子どもたちの顔を思い浮かべながら、政府は立法化を準備しているのでしょうか。


 憲法憲法9条のもとでは、絶対に許されない!これも当然の思いです。どこをどう読んだら、こんな考えが出て来るのでしょうか。読解力の再学習が必要のようです。


 では、集団的自衛権の行使は誰が決めるのでしょうか。時の政権しかありません。
 対イラクへの2003年のアメリカ軍などによる攻撃理由は「大量破壊兵器を持っている」からでした。当時の小泉首相は、「もしあったらどうするんですか。」と居直ってイラク攻撃に賛成しました。ところが、大量破壊兵器はありませんでした。
 このような歴史の過ちを繰り返すことになります。


 まして、特定秘密保護法が施行されている中では、「明白な危険とは、その危険が明白であること」(安倍首相)などの答弁程度で、闇雲に戦争に駆り出されてしまいます。


 加えて、昨年改定された社会科教科書検定基準は、「政府の統一的な見解」等に基づいた記述がされるようにと変えられました。様々な角度からの、事実に基づいた社会の学習ができなくなり、戦前の「軍国少年」がつくられるのではないかと危惧します。


 そして、この重要な論議自民党公明党による与党内及びアメリカとの協議中心に行われ、まるで既定のことのように進められていることは、重大な問題です。国会や国民の中での議論にゆだねることができないのはなぜでしょうか。
 閣議決定し、立法化を急ぐのはなぜでしょうか。


 このように考えると、ますます立法化を許すことはできない!と考えます。


 私たちは、政府に対し、昨年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回し、戦争立法(国の存立を全うし国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備関連法律案)の国会提出をやめるよう
強く訴えます。

 「教え子を戦場に送らない」…私たちはこの決意を絶対に忘れません。


 2015年 4月18日      
 全静岡教職員組合第14回定期大会 参加者一同