ルーディ・ラッカー-ソフトウェア

ソフトウェア (ハヤカワ文庫SF)

明るい陽光、バームツリーと白い砂浜。隠退老人たちのリゾート天国、フロリダで余生を送る元天才ロボット学者のコッブは、自分とそっくりの男の訪問を受けた。月に行ってくれれば、代償に新たな肉体を提供するというのだ。月では、かつてコップに自意識を与えられ、人間に対して叛乱を起こしたロボットたちが、独自の都市を築いている。いぶかしく深いながらも招待に応じたコップは、いつしかロボット同士の大抗争にまきこまれてしまった!マッドSFの鬼才ラッカーが、奇想天外な大騒動をポップなタッチで描いたディック記念賞受賞

訳は故・黒丸尚さん。元々のラッカーのいかれた文章と黒丸さんの訳が化学反応を起こして変な酩酊感があります。
ラッカーは原子力発電所の近くの海でキチガイ共がサーフィン勝負するのだが主人公のサーフボードにキチガイが発明したカオス理論を駆使したドライブが内蔵されていて滅茶苦茶な大波を引き起こし「神様ってサーファーだったのね」という狂った短編しか読んだ事が無かったんですが、長編も中々面白いですね。
マッド・サイエンティストSFな部分と破天荒でアホ臭いドタバタの融合に加えてあの訳文。
滅茶苦茶ながらも楽しいです。りんりん。
☆☆☆☆

スローターハウス5

スローターハウス5 [VHS]
カート・ヴォネガット・ジュニアの同名小説の映画。
寂れたビデオ屋にこっそり隠れていたのを不安に思いながら借りる。DVD化はされてないみたいです。
監督はジョージ・ロイ・ヒル。「華麗なるヒコーキ野郎」とかで有名な名監督ですね。


ヴォネガットの時系列が目まぐるしく移動する原作をどう処理するんだろうかと心配でしたが、流石はジョージ・ロイ・ヒル
効果的なフラッシュバック手法を多用する事で原作の味わいを損なうことなく映画へと昇華させています。
メメントに先んじること約20年、これはスゴイですね。演出の上手さはメメントと比べてもまったく遜色はありません。
主人公ビリー・ピルグリムを演じるマイケル・サックスの演技も良い。


欲を言うならトラファマドール星の描写がちょっと・・・・。
僕のイメージと合ってなかっただけかもしれませんが、妙に安っぽかった気がします。ドレスデン爆撃の描写も。
70年代初頭の映画だし技術的に無理って事もあるんでしょうがないか。


埋もれた名作、って感じですかね。もっと評価されてもいいと思います。
ヴォネガットファンには文句なしにお勧め。
☆☆☆☆☆