独占的プラットホームが衰退するシナリオを考えてみる

インターネットにおいては、ジャンルごとに絶対的な勝者がひとつずつできるといわれている。彼らの先行者メリットは絶大で、後発のサイトがおっかけるのはとても難しいそうだ。


ということで暇つぶしに、インターネットのおける勝者がネットの進化における歴史的必然として衰退するシナリオがあるとすればどういうものなのか、考えてみた。



グーグルの場合


グーグルの場合は簡単だ。検索サービスとは電話事業における電話帳(イエローページ)に相当すると考えることができる。


電話の普及期においてぶ厚い電話帳は非常に重要な存在だったが、電話が一般に普及するにつれて、個人が自分で管理する電話帳のほうが重要になってきた。そしていまや携帯電話にはいっている個人の電話帳が一番重要だ。


検索サービスについて、このイエローページにおこった出来事をアナロジーとしてあてはめるといいだろう。いまの検索サービスが重要な時代というのは、人類にとってネットがまだまだ異世界である時代である。人類にとってネットがあたりまえの存在になればなるほど、検索サービスよりも、人間が実際にネットで生活する場の情報のほうが重要になる。


そういう意味でfacebookの存在をgoogleが恐れる理由はよく理解できる。ネットが人類にとって身近なものになるにつれ、人間が生活するコミュニティの重要性が増していき、そして、おそらくプライベートな場所はどこかのラインが引かれてグーグルが検索できなくなる。


そういう場所が次第にふえていき、グーグルの相対的重要度は下がるだろう。



楽天市場の場合


楽天市場の場合の衰退するシナリオはふたつぐらい考えられる。


ひとつはクレジットカードの問題だ。楽天市場が成立している大きな根拠は、消費者がネットでクレジットカード番号を入力することに抵抗があり、特定の場所以外での利用をしたがらないからだ。ネットショッピングに消費者がどんどん慣れてきて、クレジットカードの利用に抵抗感がなくなると、もっと専門性の高いショッピングサイトがどんどん登場し、楽天の現在のテラ銭10数パーセントが、いいターゲットになるだろう。


もうひとつの可能性は、おそらく日本だと家電量販、世界的にはウォルマートでおこっているのと同じように、巨大流通のメーカーへの影響力がどんどん大きくなり、流通自身がプライベートブランドなど商品企画力が問われる時代がくる。その場合に、ショッピングモール型の楽天はアマゾンには対抗できないことが予想できる。



mixiの場合


コミュニティの場合は、ターゲットユーザへの認知度がほぼ100%になったあとに転機がおこる。認知されただけでなく、現在の加入ユーザ+過去の加入ユーザ+検討した結果、利用しないと決意したユーザの合計が、ほぼ100%になったときに成長は止まる。


諸刃の件になっているのは、日記を書くというmixiの主力コンテンツの存在だ。日記は、もちろん大変に魅力的なコンテンツだが、自分の友達が日記をやめはじめたようなクラスタでは、負のフィードバックがはたらいて、そこでは、もう二度とmixiは流行らない。


次のポイントは移り気な若年層の支持をうしなったときだ。そのときは長い期間をかけて衰退していくだろう。なので年齢制限を外した判断は、いろいろ異論があるもののぼくは正しいと思う。


若年層でより勢いがあるモバゲー、greeはいまのところ携帯だけだ。PCにおいても若年層の支持を集めるコミュニティが登場したときがmixiの本当の危機だろう。



ニコニコ動画の場合


これについても衰退のシナリオは2段階ぐらい考えてみよう。


ニコニコ動画の場合、現在の大きなアドバンテージは、最後に大ヒットしたネットサービスであるということだ。つまり”旬”であることによるいろいろな面での後押しが、まだ、残っている。その間はなにやっても最初に注目される存在でありつづけるだろう。このアドバンテージはもちろん次の大ヒットサービスが登場すると消滅する。現在の有力候補はpixivとtwitterか。どっちもちょっとニッチすぎる気がするので、別のサービスが登場するかもしれない。


もうひとつの衰退のシナリオは、コンテンツの提供している動画制作者の影響力の増大がトリガーになる。ニコニコ動画が一般的になるにつれ、有名動画制作者の地位はどんどん強くなり、ニコニコ動画以外を発表の場に選んだとしても、ユーザはついていくだろう。



twitterの場合


このサービスはまだ大ヒットという段階にはいたっていないが、ここ数年の有力候補ではありつづけている。


どんどんfollow先を登録していくと、すぐに情報爆発が起こるので、なんか、もうひとつUI的なブレイクスルーがないと、RSS並みのヒットで終わる気がする。


twitterの一番の危険はbotの繁殖だ。twitterが普及するにつれ、まるでスパムメールのようなつぶやきがどんどん増殖し、ユーザ自身がライフログの吐き出しのように自動実行させるつぶやきも増える。タイムラインの有用度はどんどん低下していきメールの受信箱みたいになる日も近いのではないか。


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さて、ということで妄想は終わり。


個人的には、ここに書いているあることが事実だとしても、各プレイヤーは単純に時計の針をおくらせるだけのような対策じゃなく、むしろ針をすすめたうえで、新しい時代をつくりだすぐらいの気概でのぞんでほしいと思っている。

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補足:ヒマなのではてブのコメントに返事書いてみます。

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id:love_chocolateさん

面倒くさいから楽天を選ぶというひとはいちばん最後まで楽天に残ると思いますよ。で、それが多数派なのはそのとおり。崩壊というのは周辺から起こるものです。


id:A-Xtuさん

気に入らないのはワーディングだけですか?文章読解力があるのでしたら、中身に反論していただいて勉強の成果をみせていただけると幸いです。

リンク先は意味不明。


id:triggerhappysundaymorningさん

リンク集=電話帳というアナロジーこそ想像力が貧困でしょう。というか、文脈読めてなくないですか?電話帳の情報提供形態を問題にしているわけではなく社会的役割の類似を指摘しているんですが???


id:araishiさん

すみません。新しいものをつくるのだけがいいと思っているわけじゃないですが、日本のネットに足らない考え方だと思っているので毎回強調してしまいます。