フィロウイルス科エボラウイルス属のウイルスを病原体とする、急性ウイルス性感染症で、ウイルス性出血熱ひとつ。エボラ熱とも。
Ebola virus disease(EVD)。Ebola hemorrhagic fever。
感染が疑われたら、病院などへ直接出向かないで、保健所に連絡することが必要。(後述)
1976年にスーダンとコンゴ(ザイール)の国境付近で流行し、アフリカ中央部・西アフリカに分布する。
潜伏期は2 〜21日。症状が進行すると吐血・鼻出血など全身にわたって出血傾向を呈し、致命率は25%〜90%までに達する。症状は様々で、特徴的なものはないとされる。
空気感染は無いとされており、飛沫感染は否定できず、経口感染する。感染症予防医療法で危険性が極めて高い一類感染症に分類される。
また、ゴリラ、チンパンジーなどの類人猿に感染する。エボラウイルスはもともと、フルーツバットに感染していたものが、他の種にも感染するようになったと推測されている。
1ヶ月程度の間に流行国へ渡航したなど、感染が疑われる場合には、保健所に連絡する。(病院・診療所へ直接行かない)*5
⇒全国の保健所と連絡先一覧
感染予防のためのワクチンはない。
エボラウイルスは紫外線、乾燥、高温に弱いため、食品は加熱処理することで安全に食せる。
また、石けんやアルコールにも弱いので、こまめな手洗いで感染を予防できる。[*2]
医療関係者としては、感染者や検体と接触した人のみに対応すれば十分で、患者の血液等を素手で触れないこと(手袋を必ず使用する)が重要である。
現在のところ治療は対症療法のみで行われる。
2014年8月4日、アメリカのサンディエゴに位置するマップ・バイオファーマシューティカル社(Mapp Biopharmaceuticals)により開発された「ZMapp(ジーマップ)」を西アフリカのリベリアにてエボラ出血熱に感染したケント・ブラントリー医師とナンシー・ライトボル医師に投与し、症状が改善したと明らかにした*6。
またテクミラ・ファーマシューティカル社により開発された「Tekmira」がある。しかし2014年8月3日、アメリカのアメリカ食品医薬品局(FDA)により臨床試験を中止している*7。
2014年8月、富士フィルムのアメリカでの提携相手である「メディベクター」により、同社のインフルエンザ用治験薬「ファビピラビル」をエボラ出血熱感染者の治療に使えるよう申請する意向を発表。
2014年2月より、ギニアを中心として西アフリカにおいてエボラ・ザイールが流行。
2014年12月19日現在、感染者は1万9065人、死者は7388人にのぼる。(WHO発表)
エボラ出血熱の初期の症状はマラリアやラッサ熱など地元の熱病と混同されやすく、現地での診断が困難だったこと、
西アフリカでは、これまで一度もエボラウイルスの流行がなく、備えができていなかったことに加え、
遺体に触れて死を悼むといった現地の風習などが感染を広げる要因となった。
急速な感染拡大により、国際支援も含めた医療体制は十分でないという。*8
*1:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola_qa.html
*2:http://www.theguardian.com/world/2014/oct/13/how-avoid-catching-ebola
(日本語訳)http://togetter.com/li/734212
*3:FORTH|最新ニュース|2012年|エボラ出血熱について(ファクトシート)
*5:
*6:CNN.co.jp : エボラ感染の米医師、未承認薬で「奇跡的に」容体改善か - (1/3)
*7:Ebola Drugs Are In Development - Business Insider
*9:http://www.afro.who.int/fr/groupes-organiques-et-programmes/ddc/alerte-et-action-en-cas-depidemie-et-de-pandemie/outbreak-news/4143-ebola-virus-disease-west-africa-26-may-2014.html
*10:Ebola Virus Kills 5 In First Outbreak in Sierra Leone
*11:【リンク切れ】エボラ出血熱 米の警戒レベル「最高」に NHKニュース
*12:http://www.jiji.com/jc/zc?k=201410/2014102800043
*13:エボラ検査、ギニア国籍女性は“陰性”|日テレNEWS24