クリスチアナ・ブランド(Christianna Brand 1907年12月7日 - 1988年5月11日) は、イギリスの女流本格推理小説作家。マレーシアのマラヤで生まれる。その後インドで育ち、のちにイギリスの学校へ進学するが、17歳の時に彼女の父親が破産。学業を諦めて働くことになり、さまざまな職業を転々とする。
1939年に初めての短編が雑誌〈タトラー〉に掲載される。その後、1941年に発表されたデビュー長編『ハイヒールの死』は、売り子時代に自分へのいじめを仕掛けてきた同僚を登場させている(ただし、本作はその後の作風とはやや隔たりがある)。
彼女のプロットの最大の特徴は、序盤に殺人事件が起きてからは、登場人物の間で容疑者がたらい回しにされつつ、ひたすらにドンデン返しが連発されながら物語が展開していく点にある。また、殊能将之の言うところの「どういう趣向か名刺の裏に書ける」オチも、常に鮮烈である。活躍した年代の問題もあるが、本格ミステリをメタ的な視点から捉えている作品もあり、新本格から入った読者にも馴染みやすいのではないかと思われる。
1955年の長編『はなれわざ』の刊行を境に、本格ミステリの長編執筆は止まり、ロマンチック・スリラー風の作品へと作風が転換する。しかし、一方でこの時期に彼女は、短編作家として『ジェミニー・クリケット事件』、『婚姻飛翔』などの短編本格の歴史的傑作をいくつも執筆している。また、この時期にブランドは児童文学にも手を広げており、名作『ふしぎなマチルダばあや』は彼女の手によるものである。1972年から73年にかけてはイギリス推理作家協会(CWA)の会長にも就任した。
1979年の遺作『暗闇の薔薇』では、久々に本格ミステリに手を染める。往年ほどの輝きはないとの声もあるが、水準以上の傑作であることは間違いない。
彼女は、活躍時期が黄金期からややズレているため不遇な評価を受けやすいが、黄金期の巨匠と並び立つ作家と評価する人も多い。
Green for Danger 1944年 コックリル警部2 中村保男訳 ハヤカワ文庫発行 前作『切られた首』 次作『自宅にて急逝』 完全にミスった。いつもシリーズ作品は、第一作から読むことを習慣にしているのに、間違って2作目から読んでしまった。 まあ、いいか、めちゃくちゃ面白かったし。 ネタバレなし感想 本作の舞台は第二次世界大戦下の病院。第一章から、ただの登場人物紹介に甘んじることなく、読者を煽る一文が光っている。郵便配達夫の届ける郵便と交差して、関係者たちの過去の重要なシーンが写真のように切り取られていくのも面白い構成。 冒頭でクセと影がある関係者たちを紹介し、その中に、事件の伏線や手…