シャーロック・ホームズシリーズの映像化作品は数多ある。しかし、ジェレミー・ブレットを起用した英国グラナダテレビジョン制作のドラマシリーズは特別である。これほど満足に為された映像化作品は他にない。描写される風景、人物の風貌、台詞の細部に至るまでが忠実であり、原作の品性を保ち得ている、殆ど唯一の作品であると云って可い。 『ボヘミアの醜聞』は56ある短篇シリーズの第1号、ホームズ作品としては第3作目にあたる。"The woman"こと、イレーナ・アドラー(衒学な英国紳士を気取りたいのであれば、決してアイリーンと呼ばぬことだ)の登場作品として、大変有名。グラナダシリーズは、エピソード1として本作品を選…