エヴゲーニイ・イワーノヴィチ・ザミャーチン 1884 - 1937
ロシアの作家。ディストピア文学として高い評価を受ける 「われら」を書くが、反ソ的とされ逮捕・投獄された。その後、 国外脱出し、パリで不遇な生活のまま客死した。
ディストピア小説が好きです。「1984」とか「華氏451度」とかの定番を色々読んだんですけど、これも抑えておきたい作品です!はい、「われら」!この小説も極度に管理された社会を描いてて、全体主義は怖いぞー、という作品なんですが(ざっくり)、先ずこの「われら」というタイトルが怖いです。なぜ「われら」か。この作品の世界「単一国」には一人称単数は基本ないんですねー。常に自らを呼称する時は一人称複数です。だから「われら」。なぜか?この社会に「個」はないからです。常に全体の一部であることを求められてるからです。怖いですねー。なぜ怖いか?個人の権利や都合なんてのはまるで考えられてないからです。言ってみれば国…
【あ】アーモンドの樹(ウォルター・デ・ラ・メア)アイオワ野球連盟(W・P・キンセラ)愛しているといってくれ(マージョリー・ケロッグ)愛の果ての物語(ルイザ・メイ・オルコット)青い花(レーモン・クノー)赤い高粱(莫言)赤毛のサウスポー(ポール・R・ロスワイラー)悪魔なんかこわくない(マンリー・ウェイド・ウェルマン)悪魔に食われろ青尾蠅(ジョン・フランクリン・バーディン)悪魔の収穫祭(トマス・トライオン)悪魔のベッド(ジャン・レイ)悪魔はぼくのペット(ゼナ・ヘンダースン)悪夢の化身アシスタント(バーナード・マラマッド)明日に別れの接吻を(ホレス・マッコイ)熱い太陽、深海魚(ミシェル・ジュリ)あっぱ…
山口尚『人が人を罰するということ:自由と責任の哲学入門』ちくま新書 (2023) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 読みごたえのある本であった。 『格差という虚構』以来、ちくま新書では個人的に最高と思える本であったように思う。 端的に文章が非常に読みやすく、かつ無駄のない理路整然した本であった。 当ブログは有り難いことに、数字をみる限り徐々に読者( ≒ アクセス数)が増えている。 本書の内容を全て要約することは著作権の問題に抵触する恐れがあり、本書の売り上げを下げてしまう可能性はゼロではないので、敢えて結論を書かず、問いかけるかたちにまとめあ…
読んだ本 宮台真司『<世界>はそもそもデタラメである』メディアファクトリー (2008) 松本卓也『享楽社会論ー現代ラカン派の展開』人文書院 (2018) 山口尚『人が人を罰するということ:自由と責任の哲学入門』ちくま新書 (2023) フローベール『感情教育(下)』光文社古典新訳文庫 (2014) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 てきとうに手帳をパラパラめくっているとザミャーチンの言葉が書かれていたので、覚えるつもりで再度書き残したくなった。 ザミャーチン「真の文学は、勤勉で従順な役人からではなく、狂人、隠遁者、異端者、夢想家、反逆者、懐…
堅苦しい宮廷音楽を「軽音楽」に 未来派の音楽 サティ「家具の音楽」 ハックスリー、ザミャーチン 軽音楽、ビクター・ヤング、モートン・グールド ミューザック 「缶詰音楽」と戦ったペトリロ トーキーの音楽、プロダクション音楽 ポール・ウェストン、ジャッキー・グリースン マントヴァーニ、コステラネッツ エセル・ゲイブリエル、パーシー・フェイス フェランテ&タイシャー エレベーター・ミュージック―BGMの歴史 作者:ジョゼフ ランザ 白水社 Amazon 堅苦しい宮廷音楽を「軽音楽」に ムード音楽の歴史は、教会で行なわれた最初のオルガンリサイタルにさかのぼる。オルガンの調べは、説教の合間に信者の心を和…
板前のスタイリスト、木漏れ日のポレポレ、オレゴン州から来たスナイパーのサイドカット... おせちから紅白なますが覗いている...気泡の入ったスマホの保護フィルムにカミソリを突き立てる...労働組合とYMOのコラボレーション...年中無休のそば屋...恵比寿で聞く音楽...田町で聞く音楽...神保町に火をつけて逃走...逃走...本郷三丁目に燦然と輝くヴィーナス... 俺は東京を吹き抜ける一陣の風 携帯灰皿に吠える極夜 中央高地では草木が生い茂る 目が眩むほど中央線通勤快速 足がすくむほど山手線内回り 停車駅を確認しなかったお前が悪い ひたすらお前が悪い 商店街ではボヤ騒ぎ きまりが悪くて痰壺に…
読んだ本 山本貴光『投壜通信』本の雑誌社 (2018) 山城むつみ『文学のプログラム』講談社文芸文庫 (2009) スーザン・ソンタグ『こころは体につられて 上:日記とノート1964-1980』河出書房新社 (2013) ジェフリー・ロバーツ『スターリンの図書室:独裁者または読書家の横顔』白水社 (2023) 執行草舟『草舟言行録 Ⅰ :日本の美学』実業之日本社 (2022) 伊藤守 編集『メディア論の冒険者たち』東京大学出版会 (2023) ドゥブラヴカ・ウグレシッチ『きつね』白水社 (2023) E・M・シオラン『生誕の厄災 新装版』紀伊国屋書店 (2021) ーーーーーーーーーーーーーー…
Executive Summary ジョージ・オーウェルが、第二次世界大戦中および大戦後に人気を博した通俗評論家バーナム『管理職革命』『マキャベリ主義者たち』を徹底的に批判した書評的エッセイ。バーナムは、マキャベリを引き合いに出して、政治は常にエリートのだましあいの権力奪取で大衆は奴隷、イデオロギーなんて大衆動員の口実、パワーこそ正義、と冷徹なリアリストを気取ってみせた。この見立てを元に、バーナムはドイツが勝っているときはナチスこそ新世界秩序の盟主、ソ連なんか一撃でおしまい、抵抗するな、受け入れよと説いたくせに、数年後にドイツが負け始めたら、ソ連最強でスターリン社会主義が世界を支配する、と手の…
今週のお題「最近読んでるもの」 ↓この四冊です。↓ 前の記事とも内容がかぶっていますが..... 一番左のザミャーチンの「われら」は100年ぐらい前にソ連で書かれたディストピア小説で、今からはるか未来のの世界の<単一国>に住む宇宙船の設計技師が主人公です。 物語は主人公の日記という形で進んでいき、<恩人>という指導者はレーニン、<守護者>はKGB(秘密警察)を暗喩しているように見えます。 <単一国>では人々は個別の<ナンバー>として労働や異性のパートナー、起床・就寝時間、思考などといった行動すべてが当局によって管理されています。 そのような状況の中で主人公はある女性のナンバーと出会い<単一国>…
沼野恭子「「名著」について思うこと」(in 『わたしと「名著」』 *1、pp.10-11) 沼野さんが「考える名著の条件は、第一に時空間を超越する普遍性があること、第二に作品として魅力をそなえていること、そして第三に感情が揺すぶられること、である」という(p.10)。 幼いころを除いて「名著」の筆頭は、変わらずレフ・トルストイ*2の『アンナ・カレーニナ』である。かつて生の意味に悩み葛藤する登場人物レーヴィンと出会い、遠く離れた一九世紀ロシアの小説にこの普遍的なテーマが埋め込まれていることを知って驚嘆した。それ以来、アンナの執拗なまでの愛の追求、家庭の幸福をめぐる悲喜劇、虚飾に満ちた社交界と素朴…
東京外国語大学オープンアカデミー(TUFS)で8月29日~31日に開講された、沼野恭子名誉教授による「現代ロシア語文学入門ー雪どけから現在までー」を受講しました。オンラインで毎日19:00から20:30までの講義でした。ロシア革命からウクライナ侵攻までの間のロシア語文学の流れがよくわかりました。作家の中にはロシア国外で執筆している人も複数いるので、「ロシア文学」でなく「ロシア語文学」となっています。毎回取り上げた作家の一覧を作成し、作家名からはウィキペディアにリンクを張りました。◎印は詳しく説明があった作家です。日本語版の無い作家は追々日本語版を作っていく予定です(翻訳して立項した作家は☆)。…
終日休みなり。ザミャーチン『われら』を読む。
読んだもの 今年の訳解らん枠。読めば読むほど何がなんなのかわからなくなった。これまでの訳解らん枠はピンチョンが筆頭だったのだけどこの本のためにソローキンがトップに出てしまい、世界は広く、わたしはまだまだ何も知らない。「青い脂」というのは読後の所感の事なのかねと思ったけど結局何がなんだかやっぱり解らなかった。 たしか飲み友達と痛飲した翌朝の帰路の電車の中で突然マッドマックスの話からディストピアの話になり、三大ディストピアのひとつとしてこれがあるんだと紹介された(のこりはオーウェル『一九八四年』とザミャーチン『われら』で、最後のやつは積読の中にある)ので読んだ、というやつだったと思う。 後世から物…
👇のリストがベース 1~1001番までは2007年版の年代順。 1002番以降は2007年以降に追加された書籍順。 英語表記は翻訳されていない本。(見落としあったらコメントください。。。) 1000~1100/1300くらいは翻訳されてそう。 訳が古かったり、世界文学全集の中だけ収録されているものだったり、割と希少本も少なくないので、図書館など活用して消化していきたい… 1. Aesop's Fables (Aesop) 1 イソップ寓話集 アイソーポス 2. Ovid's Metamorphoses 2 変身物語 オウィディウス 3. Chaireas and Kallirhoe 3 カイレ…
小ラーメンカタメの希死念慮マシ尊厳スクナメアブラカラメショウガにキムチのトッピング(¥100)というのが昔からのオーダーである。 ①意志の弱さについて iPad Proを買ってしまった。全く必要がないのに。自分でもびっくりするくらい決断に自己の意志が関与していないのである。このよっつ前の記事を更新するまで使っていたiPhoneの穴がガバガバになってしまい、iPhoneを買い替えるだけのつもりで外出したにも関わらず、気がつけば左手にiPadの入った紙袋をぶら下げている。あーらびっくり。嫁がいたなら殺されていてもおかしくない。 なにがおかしいかと言えば、昨年末の記事において スマートフォンに齧り付…