ミステリ作家。1947年アメリカアラバマ州生まれ。「緋色の記憶」で1997年度MWA最優秀長編賞受賞。「夏草の記憶」「夜の記憶」等の記憶シリーズが人気。過去と現在を交錯させながら徐々に事件の真相を明らかにしていく手法をとっており、その文体は情緒的にして重厚。薄皮を剥ぐようなじりじりとした展開は好みの分かれるところだが、「謎」だけでなく「人間の深部、暗部」をもあぶり出して行く精緻なストーリーテラーとしても評価が高い。
「沼地の記憶」(トマス・H・クック 著 /村松潔 著)を読みました。 “記憶五部作”の最後の作品として読むことにしましたが、この「沼地の記憶」は2008年の発表で、他の1990年代の作品と少し間が空いています。 “記憶四部作”プラス1の位置づけのほうがふさわしいかもしれません。 舞台は1954年のアメリカ南部のデルタ地帯(沼地)。当時24歳の高校教師だった「わたし」が地元で起こった悲劇的な事件を回想するという形は、クックの“記憶シリーズ”いつものパターンといえるだろう。 今回も肝心の悲劇がどんな事件だったのか、読み始めてもまったくわからない。 冒頭はこんなふうに始まる。 わたしは不幸にも恵まれ…
冬将軍がやってきました。⛄ 今季、本格的な大雪になりそうです。 雪じゃないところも寒さが厳しいです。油断しないで過ごしましょう。 「夜の記憶」(トマス・H・クック 著/村松潔 訳)を読みました。 クックの“記憶5部作”、4作目ですが、今作は今までと印象が異なります。 まず、今までの3作は“わたし”が語り手の一人称で描かれていましたが、今作は三人称で描かれていました。 “わたし”が語り手だと、読み手が“わたし”に同化しやすく、主人公の“記憶”が生々しく読み手に迫る。それが三人称だと、読み手との間に距離が生まれ、客観的に主人公を見つめることになる。この違いは結構大きかった。 また、今作の主人公は作…
今日は暖かいですね~上着がいらないくらい。 たぶん太平洋側と日本海側、北日本と西日本などで全然違うお天気なのかも。 地域のクリーンキャンペーン(大掃除)の日ですが、まだコロナワクチンの副反応で腕が痛いためお休みしました。 でも、副反応としては今回だいぶ軽いほうで、発熱も37.5度くらいで一度解熱剤を飲んだだけで下がったし、脇の下の肉まん(リンパ腺の腫れ)もわりと小さめ。 接種の翌日は寝たり起きたりでしたが、その翌日からは家事ができるようになりました。ほっとしています。 新しいパソコン、ブログの記事は無事アップができ、これはほっとしましたが、移行したデータ(文書や画像など)は新しいパソコンで見る…
「死の記憶」(トマス・H・クック 著/佐藤和彦 訳)を読みました。 先日読んだ「緋色の記憶」に続く“記憶5部作”のひとつです。 ちょっと表紙が怖い・・・内容的には合っているんだけど・・・ 主人公のスティーヴは、9歳のとき、父親が母、姉、兄の3人を銃殺し失踪、行方不明のままという過去をもっている。当時友だちのところにいた彼は、父親の標的を免れたとみられた。 伯父に育てられた彼は、設計士となり、現在は妻と息子がいる。妻も同僚も彼の過去を知っているが、彼自身は過去を思い出すこともなく日々を過ごせるようになっていた。 そんなとき、“家族皆殺し”の事件を調べているレベッカという作家がスティーヴを訪ねてき…
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予想通り、いきなり冬がやってきましたね。高齢者でなくてもヒートショックになりそうです⛄ あたたかくして体調管理に努めましょう。 鍋ものにもいい季節🍲 今日は湯豆腐にしまーす(^^)/ 「緋色の記憶」(トマス・H・クック 著/鴻巣友季子 訳)を読みました。 原題は“The Chatham School Affair”、「チャタム校事件」。 アメリカ・ニューヨークの北東の小さな町、チャタムが物語の舞台で、父親が校長を務める学校に通うヘンリーが主人公である。 のちに弁護士となったヘンリーが、年老いて、自分がチャタム校の生徒だったときに起きた“事件”を回想する構成になっている。 その“事件”の内容は、…
昨日、30日。「ふくらむ読書」締め切り、スケジュール帳の記載もれで失念していて、午後、あわててパッチの紐をきつく締め、えいやっと原稿を作り送付。先日行った鶴見線と笙野頼子『タイムスリップ・コンビナート』について書く。写真も送付。 今月2本、原稿依頼あり。いずれも単発の短い原稿。それでもありがたい。1本は閉鎖したアドレスに依頼があったのを知らず、念のため確認したら見つけ、その依頼はもう間に合わなかったのだが、アドレス変更を告げたらまた依頼してくれた。じつはもう1本もそうして救出した依頼だった。 3日前から激しい咳止まらず苦慮する。毎年、寒くなるとそうなる。空気の乾燥、夏の間に発生したダニの死骸、…
トマス・H・クック、この一週間か10日ほどですでに6冊を読み終え、7冊目へ。殺人や失踪が絡む救いのない世界で、現在と過去が交差して物語が進むのが共通する特徴。ひと言で「暗い」のだが、引き込まれるのだ。 思い立って、図書館で村上春樹『騎士団長殺し』を今ごろ読み始め一気に読了。理屈っぽいところなど、ところどころガサゴソッと読み飛ばしながらだが、こちらも物語世界に引き込まれた。やはり、現代作家にあって抜群の技量である。 ちくま文庫『古本大全』の編集者Kさんによる要望で新稿、「あとがき」も書いておくる。これで、原稿としてはフィニッシュ。今日、「本の雑誌」社で、魚雷君と中公文庫対談。古本まつり2日目も少…
終活の本棚整理の続きです。 西京極の「F書房」に段ボール箱で、 18箱、およそ1000冊を持ち込みました。 軽自動車が箱でいっぱいです。 走るか心配したほど。 ここまでするのに体も疲れ果て、膝がくがくでした。 気力喪失状態だったので、 50歳くらいの古書店の主人に、 「全部で3千円」といわれ、黙って受け入れました。 意外なことに小学館の日本の古典全集は、 全巻そろっていないので、 タダでも引き取れないと言われました。 (2~3冊抜けてるんです) 楽天市場では1冊600円ほどで売ってるんですけど、 古典は買う人がいないと店の主人は言います。 この全集、箱入りで、透明のビニールカバーが かかってい…
こんばんは。 一冊だけと決めて図書館で借りた本をさっそく読み終えてしまいました。 読んだのはA・S・Aハリスン「妻の沈黙」。 この間別の本を再読しようと決意していたのですがそれがあまりにも分厚いので、まずは読みやすいものを……と求めて手に取ったのがこちら。 面白かったらいいなあとあわい期待を抱き、軽い気持ちで読んだのですが面白かった。一気読みでした。 ほかの方はどんなふうに読んだのだろうと見てみると、あんまりだった……な方も多く、察するにサスペンスとかミステリーって、トリック、展開に重きを置く方、いやそれよりも登場人物たちの心情を丁寧に……っていう方と別れるのかなあって。 わたしは後者でミステ…
こんにちは。 今日も書く練習の為、更新します。 昨日夫と出掛けていたときふと目に止まったのが床屋さんの看板。 くるくる回っていて、果てしなく回転しているパキッとしたカラー。 あれがほんとうに子どもの頃はふしぎだった。 あの「くるくる」が下からのぼってきて、どこかに上がっていって、またどこかからのぼってくると思っていたから。 きっとそんなふうに「?」を抱えていた子どもって、たくさんいたと思う。 けれども月日は経ってすっかり大人になり。 あの看板を見てもなにも思わなくなっていた自分がいて。 「?」はすっかり消滅してしまっていて。 あんなにふしぎだったのになあと、なんだかしんみりしたのでした。 同じ…
久しぶりに疲れるまで本を読んでしまいました。 “しまいました”というのはしばらく本から離れていたからです。 というのも読書にハマったわたしは一時期その名の通り貪り読んで、読んで読んで生活のすべてが本でした。言葉でした。 でも極端過ぎて体調を壊し……。 こうして書いてみるとばかだなあと思うのですが、そのときは必死だった。 自分とはなにか。世界とはなにか。生きるとはなにか。そんな問いで頭の中はいっぱいで、ページをめくる手がとまらなかった。 ではいまそれらの問いに答えは出たかというと--。まったく出ていない。むしろ、よりいっそう、分からなくなったかも。 でも、なんとかそのわからない日々を、わからない…
こんにちは。 今日も書く練習のため更新します。 以前は本を読んでその感想を長文で書くことが多かったのですが最近はお休みしていたので久しぶりのブログ、たのしいです。 特別なことはなにもない日々ですが文章の練習にもなると思うので、できるかぎり続けたいです。もちろんあくまでも無理せず楽しんで。 さて近頃は自転車で外をプラーっとするのにハマっています。 まだ暑くて熱中症に注意ですが自分は散歩が好きなんだなあと再発見したのだった。 基本的に一人で過ごすことが好きなのでインドアなんだと認識していたのだけどよく考えてみればインドアというのはそのまま言い換えればイン、ドア、ドアの中というわけでけれども思い返せ…
こんにちは。今日も書く練習の為、更新します。 さて長年書き続けた読書感想文ですが、サイト閉鎖に伴いこちらにうつしました。 思っていた以上に大変でした。 というのもいまパソコンがないのでスマホですべて手作業で行ったので。 もしこの「はてなブログ」もいつか終了になったら、また移さないといけないのかなあ、と考えると震えてしまいますが……。ひとまず記事は移動できたと思うので安心しました。 そして題にもあるように文章ってほんとうにタイムマシンだなあって。 もしかしたら当時の(数年前の)自分が姿形をあらわすよりも、生身に近いかもしれない。 なんて思うほどそのときの心情がひりひりと伝わり、もどかしいここ最近…
こんにちは。今日も書く練習のため、更新していきます。 ここ最近は、過去の文章をこちらのブログにうつしているのですが(書いていたサイトが閉鎖するため)、古いものだと2016年のものになるのでかれこれ七年前ということに朝から震えていたのでした。 体感としてはまあ言っても四年前くらいかなあ、という感じだったのですが、七年といったらば、小学校も卒業してしまうことになる!!! そう思うと、文章って生き物でそのときはもちろん全力でそのときに感じたことを書いていたわけだけど、間違いなく自分なのに照れ臭く、恥ずかしく、でもなんか懐かしい再会という、なんとも複雑な思いなのだった。 ということは、今から七年後のわ…