「沼地の記憶」(トマス・H・クック 著 /村松潔 著)を読みました。 “記憶五部作”の最後の作品として読むことにしましたが、この「沼地の記憶」は2008年の発表で、他の1990年代の作品と少し間が空いています。 “記憶四部作”プラス1の位置づけのほうがふさわしいかもしれません。 舞台は1954年のアメリカ南部のデルタ地帯(沼地)。当時24歳の高校教師だった「わたし」が地元で起こった悲劇的な事件を回想するという形は、クックの“記憶シリーズ”いつものパターンといえるだろう。 今回も肝心の悲劇がどんな事件だったのか、読み始めてもまったくわからない。 冒頭はこんなふうに始まる。 わたしは不幸にも恵まれ…