京都美術協会之章 今日は古い徽章を取り上げる。 「京都美術協会之章」と裏面に篆書体で書かれたバッジである。字面からして,京都における古美術業者や愛好家らの組織かと思いきや,もう少し本格的な組織なのであった。明治維新後の美術界の保守と革新、万博と殖産興業。こうなるとがぜん興味が湧いてくる。 京都美術協会は、フェノロサ講演に刺激された美術家らにより、明治23年に京都東山の建仁寺を舞台に発会式が開かれた。明治20年に東京で発足した日本美術協会とは全く異なる独自の組織であって、その対比はおもしろい。 日本美術協会は、絵画の革新運動に危機感を抱いた美術界重鎮が宮内省と関係が深く、明治11年に発足した龍池…