既にご紹介した通り、古典期のギリシアで西洋哲学が始まったこと、またソクラテスが西洋哲学の祖と目されていることは確かです。しかしこれらのことは、必ずしも事実ではない――より正確には、事実の全てではありません。ソクラテス以前の哲学者、と今では呼ばれるようになった人たちが、ソクラテスがこの世に生まれる以前から様々な思索を巡らしてきたこともまた事実であり、その一部は現代にも受け継がれています。 少し乱暴にまとめると、ソクラテスがものごとの「定義」を求めたのに先駆け、彼らはものごとの「原理」を探求したのだと言うことができます。その意味で、哲学のルーツのもう一方を担う存在なのだと言ってもいいでしょう。また…