作曲年代の楽器の特質やその演奏様式を重んじ、古楽器によって再現される中世・ルネサンス・バロック期の西洋音楽の演奏を指す。 19世紀末頃からこういったアプローチがみられるようになる。 当初は学問的な考証に偏ったものとみなされがちだったが、1970年代以降、音楽界・聴衆全般に幅広く認知され、現在ではモダン楽器奏者の奏法、管弦楽の編成や演奏様式などにも影響を与えている。
クリストファー・ホグウッド指揮アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックによるモーツァルトの交響曲全集完聴記。今週はその第6回、番号の付いた4曲をきいていきます。 CD4 交響曲 第14番 イ長調 K.114 第2回目のイタリア旅行から帰った1771年の12月に書かれたといわれています。 楽器編成がオーボエに替りフルートが使われているため色彩的な響きがします。第1楽章ののびやかな旋律がオーストリアの田園風景が広がる感じです。 ここではコンティヌオ(チェンバロ)がかなりきこえてきます。 第2楽章アンダンテではフルートから持ち替えられたオーボエと弦楽器が牧歌のようなメロディーをきかせてくれます。…
完聴記5回目です。先月に引き続き真偽不明のシンフォニー集をきいていきます。 CD18 ・レオポルド・モーツァルト:シンフォニア ト長調 「新ランバッハ」 これが前回、完聴記(その4)で「旧ランバッハ」シンフォニーの項目に登場した現在では父レオポルドが作曲されたとされている作品です(混乱しそうな経緯でしたが…) 第1楽章アレグロなんかをきけばこれがヴォルフガングの作品ですと言われれば納得しそうなメロディーラインを持っています。 その後の楽章も常識的な書き方というか自分の耳には「これだ!」という所のない、かといって悪い所もない作品。 ★ ・第7番 ニ長調 K.45 1768年の1月、ウィーンで書か…
今週も完聴記モーツァルトのシンフォニー。その第4回。 先週でほぼ初期のシンフォニーをきき終わる目安がついたので、今回と次回で残ったシンフォニーと真偽不明な曲をきいていきたいと思います。 CD17 (この全集のCD17とCD18には真偽不明の作品が収められています) ・交響曲 イ短調 K.16a /K.Anh.220「オーデンセ」 1982年にオーデンセ(アンデルセンの生地で有名)で写譜が新発見され、1765年にロンドン、もしくは1766年~1769年頃、ザルツブルクかウィーンで作曲された初期の交響曲と研究家たちは推論しました。しかし、研究が進み偽作説が強まり、その後はほとんど録音・演奏される事…
今週はモーツァルトの交響曲全曲の完聴記―演奏ホグウッド&アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックの3回目です。 CD3 ・交響曲 ハ長調 K.35 「第一戒律の責務」序曲(シンフォニア) モーツァルト11歳の時に書かれた宗教的ジングシュピール(ドイツ語による宗教劇)の序曲をシンフォニーとして数えて演奏しています。 強弱の対比が繰り返されます。弦のユニゾンではドラマティックな表現をきかせるのが興味深いです。なお、この劇本編は3部に分かれていて第1部がモーツァルト、第2部がヨーゼフ・ハイドンの弟、ミヒャエル・ハイドン、第3部がザルツブルク大聖堂のオルガニストで作曲家のアントン・カエタン・アドル…
クリストファー・ホグウッドさん追悼から始めたモーツァルトの交響曲全集完聴記の第2回です。 CD2をきいていきたいと思います。 ・交響曲 ニ長調 K.95(73n) 1770年頃、ローマで作曲されたものですが、自筆譜が残されていないので疑作説があります。 オペラの序曲を思わせるトランペット、ティンパニを編成に含む祝典的な音楽です。第2楽章アンダンテではここでしか登場しないフルートがグルックのオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」で一番有名な「精霊の踊り」を思わせる楽想で印象的な場面をつくっています。 メヌエットを第3楽章に含み、全4楽章のそれなりの充実感はあります(このメヌエットは後になって書き…
ここ最近、平日は残業・出張、週末は私学に通う息子の野球応援、現在秋季の大会に出場しているのでその応援と音楽をまともにきく時間が取れていないのでブログ記事の作成が追い付いて折りません。 今週は完聴記シリーズのアーカイヴ&アニバーサリー投稿にお付き合いいただければ幸いです。 2014年は先日アーカイヴ投稿したフランス・ブリュッヘンさんが8月13日に、9月24日にはクリストファー・ホグウッドさんと古楽器演奏普及に貢献した第一人者が相次いで亡くなりました。 以下はホグウッドさん死去に際し追悼として彼の残した代表的な録音のひとつ「モーツァルトの交響曲全集」をきいた長期投稿記事となります。 去る9月24日…
今月最終週末の投稿は他ブログ投稿の引越し記事にお付き合いいただければ幸いです。 私が亡くなった演奏家のなかで一番多く実演に接することのできた指揮者フランス・ブリュッヘンさんが亡くなって今年の8月で10年となります。 亡くなった時に追悼として書いた記事のアーカイブです。 以下、長文となりますがお付き合いください。 8月13日、オランダの指揮者フランス・ブリュッヘンさんが亡くなりました。そこで今週のこのブログは彼を偲ぶ回にしたいと思います。1934年生まれなので79年の生涯だったことになります。指揮者は80歳を超えて現役という方がいるのでもう少し生きてほしかったです。。。彼はリコーダー奏者としてデ…