訓読 >>> 196飛ぶ鳥の 明日香の川の 上(かみ)つ瀬に 石橋(いしはし)渡し〈一に云ふ、石なみ〉 下(しも)つ瀬に 打橋(うちはし)渡す 石橋に〈一に云ふ、石なみに〉 生(お)ひなびける 玉藻もぞ 絶ゆれば生(お)ふる 打橋に 生(お)ひををれる 川藻もぞ 枯るれば生(は)ゆる なにしかも 我(わ)が大君(おほきみ)の 立たせば 玉藻のもころ 臥(こ)やせば 川藻のごとく 靡(なび)かひの 宜(よろ)しき君が 朝宮(あさみや)を 忘れたまふや 夕宮(ゆふみや)を 背(そむ)きたまふや うつそみと 思ひし時に 春へには 花折りかざし 秋立てば 黄葉(もみちば)かざし 敷栲(しきたへ)の 袖…