訓読 >>> 466我(わ)がやどに 花ぞ咲きたる そを見れど 心も行(ゆ)かず はしきやし 妹(いも)がありせば 水鴨(みかも)なす 二人 並(なら)び居(ゐ) 手折(たを)りても 見せましものを うつせみの 借(か)れる身なれば 露霜(つゆしも)の 消(け)ぬるがごとく あしひきの 山道(やまぢ)を指(さ)して 入日(いりひ)なす 隠(かく)りにしかば そこ思(も)ふに 胸こそ痛き 言ひも得ず 名付(なづ)けも知らず 跡(あと)もなき 世の中なれば 為(せ)むすべもなし 467時はしもいつもあらむを心痛くい行く我妹(わぎも)かみどり子(こ)を置きて 468出(い)でて行く道知らませばあらか…