萬葉集 巻第六 923 山部宿禰赤人が作る歌二首 併せて短歌 やすみししわご大君の高知らす 吉野の宮はたたなづく 青垣隠り 川並の清き河内そ 春へには花咲きををり 秋へには霧立ち渡るその山の いやますますに この川の絶ゆることなく ももしきの大宮人は常に通はむ 新編日本古典文学全集「万葉集②」(訳者・小島憲之他・小学館)の訳 山部宿禰赤人の作った歌二首と短歌 (やすみしし)わが大君が高々と造られた 吉野の離宮は 並み重なる青垣山に囲まれ 川の流れの清い河内だ。 春ごろは花が咲き乱れ 秋ごろは霧が立ち渡る。 あの山々のように 引き続いてこの川のように 絶えることがなく(ももしきの)大宮人は いつ…