紫式部集 79 80 紫式部 79 久しくおとづれぬ人を思ひ出でたるをり 忘るるはうき世の 常と思ふにも 身をやる方の なきぞわびしき 返し 80 誰が里もとひもや くるとほととぎす 心のかぎり まちぞわびにし この歌は、『紫式部集』と『千載集』に掲載されている歌です。 (新古今和歌集 巻第三 夏歌 204)「返歌」となっています。 意訳 題詞:人の世の終わりに際して、大切にされるべきこと 作者:紫式部 いずれのお宅においても、最期のときを迎えようとしている方がおられるならば、その知らせを聞きつけた人々が、時鳥のごとく声を上げ、様子をうかがいに、あるいは見舞いに訪れるものではないでしょうか。 …