訓読 >>> 2708しなが鳥(どり)猪名山(ゐなやま)響(とよ)に行く水の名のみ寄そりし隠(こも)り妻(づま)はも [一に云ふ 名のみ寄そりて恋ひつつやあらむ] 2709吾妹子(わぎもこ)に吾(わ)が恋ふらくは水ならばしがらみ超して行くべぞ思ふ [或本歌発句云 相思はぬ人を思はく] 2710犬上(いぬがみ)の鳥籠(とこ)の山なる不知哉川(いさやがは)いさとを聞こせ我(わ)が名(な)告(の)らすな 2711奥山(おくやま)の木(こ)の葉隠(はがく)りて行く水の音(おと)聞きしより常(つね)忘らえず 要旨 >>> 〈2708〉猪名川が音を響かせて流れ行く水音のように、噂ばかり立てられて、逢えない…