訓読 >>> 3552松が浦に騒(さわ)ゑ群(うら)立(だ)ち真人言(まひとごと)思(おも)ほすなもろ我(わ)が思(も)ほのすも 3553味鴨(あぢかま)の可家(かけ)の湊(みなと)に入る潮(しほ)のこてたずくもが入りて寝(ね)まくも 3554妹(いも)が寝(ぬ)る床(とこ)のあたりに岩ぐくる水にもがもよ入りて寝まくも 要旨 >>> 〈3552〉松が浦に波のざわめきがしきりに立っていて、そんなざわついた世間の噂をあの人は気にしておられるようだ。この私も思っているのと同様に。 〈3553〉安治可麻の可家の河口に入ってくる潮が緩やかなように、人の噂もおだやかであってほしい。あの娘の家に入って共寝し…