●歌は、「馬並めていざ打ち行かな渋谿の清き磯廻に寄する波見に(大伴家 17-3954)」である。 【しぶたにの崎】 「大伴家持(巻十七‐三九五四)(歌は省略)・・・国分から海岸ぞいにJR氷見線に沿うて1キロ半、その付近の出崎(岩崎の鼻)が渋谿(しぶたに)崎だ。家持の『二上山賦』に『すめ神(かみ)の裾廻(すそみ)の山の渋谿(しぶたに)の崎の荒磯(ありそ)に』(巻十七‐三九八五)とあるように二上山系の北の出崎に当り、男岩・女岩などの奇岩に富んだ佳景の岬だ。家持は在任中、国庁から近いこの好風地にたびたび遊び、氷見の布勢水海(ふせのみずうみ)への往復にも嘆賞して、六首もこの崎を歌に詠み荒磯(ありそ)に…