●歌は、「しましくも 行きて見てしか 神奈備の 淵は浅せにて 瀬にかなるらむ (雑歌 巻六の九六九)」である。 【カムナビという言葉】 「では、カムナビ・・・の語源説のなかでもっとも無理ない説・・・は、 カム(神)+ナ(連体格助詞)+ビ(場所を表す形態素) という説です。『ナ』序詞の『ノ』と同じと考えるとよいでしょう。『ビ』は場所を表す形態素と考えるのです。実は、『万葉集』には『山ビ』『川ビ』『浜ビ』という言い方もあるのです。それは、『山ベ(辺)』『川ベ(辺)』『浜ベ(辺)』と同じ・・・こう考えを進めてゆくと、カムナビという言葉には、『神のいます辺り』『神のいますところ』というほどの意味を認め…