「マイケル・K」

慶應義塾の図書館学校初代主任教授であった、ロバート・ギトラー先生に関わる講演会の案内がありました。先生が日本滞在当時に母親に宛てた900通の手紙について紹介するという内容です。 演題： 東京からの手紙、1950-1956 講演者： Michael Buckland カリフォルニア大学名誉教授 日時：日本時間10月5日（土）午前7時10分～午前9時／現地時間10月4日（金）午後3時10分～午後5時 内容：1950年、アメリカ図書館協会は、ロバート・ギトラー氏（1931年卒）を、日本に図書館学校を設立するという漠然とした任務を託して派遣しました。限られた助成金にも関わらず、彼の多大な献身により図書…

マイケル・K・バックランド『イデオロギーと図書館：日本の図書館再興を期して』樹村房、2021 169p「民間情報教育局のCIE情報センター（以下、情報センターと略記）は国務省に移管され、新しい米国情報局（U.S.Information Agency：USIA、米国国外ではU.S.Information Service：USISとして知られている）に配属された。USIAは戦争情報局の後継機関であり、「国益を拡大するために、諸外国を理解し、情報を提供し、影響を与えるとともに、米国人と米国の諸機関、および海外の同等の組織との対話を広げること」を目的として設立された。 日本国内では19カ所の情報センタ…

マイケル・K・バックランド『イデオロギーと図書館：日本の図書館再興を期して』樹村房、2021 77p「岡山の情報センターは、一つの良い例である。同センターは、活発な館外活動、特に子ども向けの見世物（show）、展示、プログラムを企画した。地元の日本人芸術家や米国の学童による美術展が人気を博した。日米の学校間では、美術品の交換が行われた。映画スターや著名演奏家を含めて、よく知ら手ている米国人が招かれた。バイオリニストのユーディ・メニューイン（Yehudi Menuhin）が来日し、演奏会を開いた。地元日本の図書館員の来館は、歓迎されていた。 ファッションショーやファッション雑誌はとても人気があっ…

マイケル・K・バックランド『イデオロギーと図書館：日本の図書館再興を期して』樹村房、2021 75-6p「東京の最初の図書館の蔵書は、当初は数セットの「兵隊文庫」のみであったが、より充実した蔵書がすぐに構築された。一つのCIE情報センターには、約6,000冊の米国の図書や定期刊行物があったであろう。それはただ消極的に集めらえた本の集合体以上のものであった。情報センターは、占領軍の民間情報教育プログラムの一部であり、そこには積極的な館外活動も含まれていた。そのサービスは無料で、米国占領軍人の利用は認められなかった。最初の情報センターについては、SCAP/GHQの公式記録が次のように誇らしげに報告…

今は亡きポール・オースターと、J.M.クッツェーの往復書簡『ヒア・アンド・ナウ』を読みました。ヒア・アンド・ナウ 往復書簡2008-2011作者:ポール・オースター,J.M.クッツェー岩波書店Amazon原タイトル Here and Now: Letters, 2008-2011, 2013サミュエル・ベケットの研究を通して知り合い、意気投合したというお二人。 ７歳年上のジョンの提案で文通がはじまったそうだ。時は2008年～2011年の３年間。 ニューヨークに住むポールは手紙で、オーストラリアのジョンはファックスで、というスタイルが意外だった。ポールは作家活動もタイプライターを用いる人で、Eメ…

クッツェーにはまりつつある。 最新作『ポーランドの人』は、一風変わった大人の恋物語。 文体も新鮮で、最後の最後までおもしろい！ 以前読んだ『夷敵を待ちながら』( 1980 ) や 『マイケル・K』( 1983 ) とはずいぶん違うなあという印象をうけた。 原タイトル The Pole (2023) ポーランド人のピアニスト、ヴィトルト（72歳）は、バルセロナで開催されるピアノリサイタルへやってきた。そこで運営の仕事をしているベアトリス（49歳）に出会い、恋に落ちる。ベアトリスには、夫と、すでに独立した二人の息子がいて、何不自由なく豊かな生活を送っていたが、、、。 と、ここまで聞いて想像するのは…

クッツェーの小説を読むのは『夷狄を待ちながら』 Waiting for the Barbarians (1980) に次ぐ二作目だ。悲惨なのに目を背けることができない、読む手が止まらない、主人公の個性が強烈な印象を残す、といったような感想は二作に共通する。1983年にブッカー賞を受賞した『マイケル・K』Life and Times of Michael K (1983)は、以前から気になっていた作品だが、あえてこのタイミングで（心が弱っているこのときに）読むことができてよかったと思う。主人公マイケル・Kの過酷な生き様に、不思議と「安らぎ」のようなものを感じ、最後には「静かな光」が灯されるからだ…

動画配信サービス情報 Blu-ray・DVD・グッズ情報 ポイント1.基本情報 ポイント2.前作との関連 ポイント3.アナーキー ポイント4.見所 ポイント5.小ネタ・裏話 こんな方にオススメ 登場人物 あらすじ・ストーリー レビュー 感想 スポンサーリンク (window.adsbyimobile=window.adsbyimobile||[]).push({pid:81210,mid:565787,asid:1840136,type:"banner",display:"inline",elementid:"im-3ed050fff7be4caea5fbba6782cc2a34"}) 動画配…

（ポピュラー・カルチャー論講義補遺）「アメリカ」を考える（14）CIEの映画と堀内誠一のデザインと 占領期のアメリカの文化的影響に関して、GHQの民間情報教育局（CIE、Civil Information and Education Section）の存在は、土屋由香・吉見俊哉編『占領する眼・占領する声：CIE/USIS映画とVOAラジオ』（東京大学出版会、2012年）をはじめ、近年研究の進展をみていますが、まだなかなかその全貌がみえてこないところがあります。 108p「占領期にGHQの民間情報教育局（CIE）の肝煎りで積極的に展開された公民館運動は、戦後民主主義の実験的な拠点となったもので、…

やっぱり世界は文学でできている: 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義2 作者:沼野充義 光文社 Amazon 東京大学教授の沼野充義(ロシア文学)と最前線で活躍する作家・学者たちが「新しい世界文学」について熱く語り合う！ 世界文学とは、もはや読むべき価値のある古典作品のリスト(カノン)ではない。日本文学と英文学、仏文学、独文学あるいはロシア文学の壁も取り払った、まったく新しい文学のありようなのだ。巻末のあとがきでは、対談後に起こった東日本大震災を踏まえ、この時代の文学を考えるうえで何が重要なのかをふたたび考察する。世界文学を通じてわれわれはどう生きるべきか、どんな時代を生きつつあるのかについて、現…

お待たせしました！ 第4回スリル・ミー投票、結果発表です。 ご参加、本当に本当にありがとうございました！！！ （前回からぐっと件数が増えたためコメントだいぶ抜粋となりすみません、、すべて目を通してます！ 抜粋したんですが、、3万字弱ありますので、、お時間ある時に読みたいところを読んでください笑） 受付期間：2023年12月17日〜2024年1月3日（だいたい） 収集方法：Googleフォームにて、「私」役最大3名、「彼」役最大3名、ペア1組を回答 投票総数：451件（「私」967票、「彼」915票、ペア380票） ↓「彼」編結果記事 a-syamu.hatenablog.com Top10 t…