10年以上前のこと。 新聞に茨木のり子さんの詩の一節が載っていた。 〈初心消えかかるのを――〉からの何行か。 衝撃的だった最後の〈自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ〉 当時、彼女のこと、名前くらいで何も知らなかった。 だから、いろいろ調べるうちにもっともっと知りたくなった。 あまりにも有名な詩であることを知った。 1977年刊の詩集「自分の感受性くらい」に収められているので、茨木のり子さん51才の時だろうか。 その時の自分も50才を超えていて、その歳で彼女の言葉に巡り逢ったことに間違いなく意味があると思えたし、幸運とさえ思った。 言い訳を許さないほどの真っ直ぐさで私を叱ってくれる言葉。…