詩の魅力とは何だろう。 なぜ人は、言葉に惹きつけられるのだろう。 なぜ人は、顔も名前も知らない人が書き残した言葉に親しみを感じたり、街角に流れる歌に心振るわせたりできるのだろう。 生み出されてから何万年。もっとも身近にありながら、捉えどころのないもの。 容易ならざる言葉の世界を、人はいつもさまよっている。 詩は、言葉の魔力をぎゅっと詰め込んだおもちゃ箱だ。 喜びや悲しみ、憂いや怒りといった感情、いや、感情となる前の靄のような思いを私たちに見せてくれる。 箱から取り出しては日に透かしてみたり、手のひらで転がしたり、あるときは力に任せて投げつけたりする。 「凛とする」という表現がある。凜はきびしい…