先日、県立神奈川近代文学館を訪れ、中島孤島編/キップリング原作『狼太郎』(冨山房 明治35年)の現物をようやく目にすることができた。 kotoh.hatenablog.com 中島孤島/編ではあるが、本文の一ページ目に「坪内逍遙閲 中島孤島編 渡部金秋画」と並んで記されているところみると、校閲者の坪内逍遙の手がかなり加えられていることが察せられた。 また、原作のキップリング「ジャングルブック」は、森の中の動物たちと、文字通り「野生児」のような少年が出てくる物語だとイメージしていたが、この『狼太郎』の物語は、確かに同様の設定なのだが、「太郎」と名付けただけあって、いかにも日本的な雰囲気が漂ってい…