『はだしのゲン』はわたしの遺書、わたしが伝えたいことは、すべてあの中にこめました、と中沢啓治さん。 『はだしのゲンはヒロシマを忘れない』(中沢啓治/岩波ブックレット/2008年)ではゲンはぼく自身、ぼくの目に焼きついている原爆の姿、しつこく、しつこく、伝え続けたい。 戦争で、原爆で、人間がどういうふうになるかと徹底的に描きたかったが、心外ながら、かなり表現を緩めて、極力残酷さを薄めて書かざるを得なかった。子どもが「こわい」と言って泣く、夜トイレに行けなくなる。あまりどぎついものを描かないでくれと親からの抗議の手紙をもらってこんな手紙を書きました。映画『はだしのゲンが見たヒロシマ』でも、このよう…