食文化を眺める 14 いままでいろいろ書いてきて、やや散漫だったかという反省をもとに、ここでまとめて書いておこう。 まず、石毛直道さんが箸とサジの食事法の歴史を「箸と匙」で簡潔に書いているので、このブログですでに紹介した『食卓の文化誌』も併せてその要旨を紹介しておこう。 中国で箸とサジの食事が始まったのは、紀元前3~2世紀ころらしい。華北に住む上流階級の間から始まり、しだいに広まっていった。なぜサジが必要だったかというと、雑穀を主食にしているから、箸だけではパラパラで食べにくかったからだ。 箸とサジの食事は、3世紀ごろまでに朝鮮に伝わり、奈良時代に日本に伝わった。日本では上級階級が平安時代まで…