きょうは、賢治童話の『いちょうの実』を紹介いたします。 そんなに、長くないお話ですので、全部お話いたします・・・・。 『いちょうの実』 そらのてっぺんなんか冷たくて冷たくてまるでカチカチのやきをかけた鋼です。 そして星が一杯です。けれども東の空はもう優しい桔梗の花びらのようにあやしい底光りをはじめました。 その明け方の空の下、ひるの鳥でもゆかない高い所をするどい霜のかけらが風に流されてサラサラサラサラ南のほうへ飛んでゆきました。 実にその微かな音が丘の上の一本いちょうの木に聞えるくらい澄み切った明け方です。 いちょうの実はみんな一度に目めをさましました。そしてドキッとしたのです。きょうこそはた…
そらのてっぺんなんか冷たくて冷たくてまるでカチカチの灼きをかけた鋼です。 そして星がいっぱいです。けれども東の空はもう優しい桔梗の花びらのようにあやしい底光りをはじめました。 宮澤賢治童話大全/講談社/Super文庫 これは「いちょうの実」の冒頭部分ですが、とても美しい情景描写ですね。 人魚姫の海を矢車草の青と表現したアンデルセンにも近い感性です。 晩秋の明け方です。 これからいちょうの実が旅立っていこうとしています。 いちょうの実たち1粒1粒が、擬人化されて旅立つまでの情景がやさしく描かれています。実は千人もいるのですから、それはもう賑やかです。 「僕なんか落ちる途中で眼がまわらないだろうか…
おきなぐさ;いちょうの実 (日本の童話名作選) 作者: 宮沢賢治,たかしたかこ 出版社/メーカー: 偕成社 発売日: 1992/05 メディア: 大型本 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る 今日、京都御苑に行ったら、 いちょうの実がもういっぱい落ちていました。 落ちている実を見ながら、思い出したのは 宮沢賢治の「いちょうの実」。 このこたちももうすぐ旅立ちの日? すいとうにはっか水を用意した子はいたのかしら…?