アメリカの大学で教えていた沙希は、アメリカ人の夫と離婚し、日本に帰国。うらはぐさという街にある母校で教鞭を執ることになり、従兄から伯父の家を借りることになった。うらはぐさでの沙希の生活を情緒豊かに楽しく描いている。 登場人物がなかなかに個性的で、伯父の庭を手入れしてくれている秋葉原さんは一度も働いたことがないと熱弁する76歳。両親を見送ったら寂しくなり、三年前に結婚したという飄々としたおじさんで、妻女は沙希が刺し子姫と呼ぶ、可愛らしい老女である。映像化されることがあれば秋葉原さんは中原英雄に演じて欲しいなぁ。 沙希の研究室に出入りするマーシー(ピーナッツブックスの登場人物から沙希がそうあだ名を…